太陽光をオフィスの照明に――太陽光採光システム「T-Soleil(ティー・ソレイユ)」

» 2008年07月25日 19時33分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

 太陽光を利用したエコロジーな建物、と言えば太陽光発電パネルを設置した建物を想像する人が多いだろう。しかし大成建設の開発した太陽光採光システム「T-Soleil(ティー・ソレイユ)」は、太陽光を照明として活用することで消費電力を抑制できる。

回転するミラーで太陽光をオフィス全体に

太陽光採光システム「T-Soleil」のモデル

 T-Soleilは、ビルの天井や内部に取り付けることで、ビルの内部へ太陽の光を照明代わりに取り入れることができるシステムだ。太陽光自動追尾型ミラーと多段のミラーの組み合わせによって、室内奥まで太陽光を届けることができる。

 屋上の太陽光自動追尾型ミラーは、小型モーターを動力として、太陽軌道に沿って回転するように設計されている。そのため、太陽の位置が変わっても常に同じ場所に光を反射することが可能。太陽光自動追尾型ミラーで反射した光を、多段のミラーでさらに反射させることによって、オフィス奥まで光を届けられる。

 大成建設によると、「小型モーターの電力消費は通常の照明器具を使用するときに比べるとはるかに少ない。通常より、照明用の電力消費量は20〜30%削減できる」という。

 課題はミラーのコストが高いこと。特殊な素材のミラーを使用しているため、「1枚当たり約200万円かかります」(大成建設)。2006年6月に竣工した大成札幌ビルでT-Soleilは導入されてはいるが、まだ一般に普及するまでには至っていない。

 太陽光を照明に利用することによって、消費電力を抑えるだけでなく、オフィスの閉鎖的な空間で沈滞しがちな気持ちをリフレッシュできるというメリットも得られる。2008年の「第6回環境・設備デザイン賞」で入賞も果たしたT-Soleil。近年、吹き抜けの開放的な建物が増えているが、ミラーのコストダウンが進めば、そうした場所へのT-Soleilの導入も進むかもしれない。

太陽光採光システム「T-Soleil」の仕組み(出典:大成建設)

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