カセットをリワインドすると、2つの“カイコ”が聴こえる郷好文の“うふふ”マーケティング(1/2 ページ)

» 2008年08月07日 17時54分 公開
[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷 好文

 マーケティング・リサーチ、新規事業の企画・開発・運営、海外駐在を経て、1999年より某会計系のコンサルティングファームのマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略、業務プロセス改革など多数のプロジェクトに参画。著書に「ナレッジ・ダイナミクス」(工業調査会)、「21世紀の医療経営」(薬事日報社)、「顧客視点の成長シナリオ」(ファーストプレス)など。現在、マーケティング・コンサルタントとしてコンサルティング本部に所属。中小企業診断士。ブログ→「マーケティング・ブレイン」


 30歳以上の読者の皆さんは、棚の奥に眠っているカセットテープをどうしているだろう? 正確には「コンパクトカセットテープ」。1970年代から90年頃まで、音楽を聴くメディアといえばカセットテープだった。ラジカセ、カセットデッキ、そしてカセットウォークマンがオーディオの3大ギアだった。

どちらも1981年頃オーストラリアで購入した、現地製のミュージックテープ。オールドファンならではのレアモノ

 持ち運びOK、落としてもめったに壊れない丈夫さ。空テープは1個100円という安さで、レコードやCDを空カセットに録音するのが音楽文化だった。好きな曲を録音して、1曲ずつ手書きで曲名を書いて、女子と交換したっけ。手持ちの古いカセットのパッケージラベルに女子の文字を発見してニヤリとする。デジタルでファイル交換することしか知らない“子ども”たちには、カセットに収録するメモリーの味わい、分からねえだろうな。

Mix Tape USB Stickで“手書き愛”のメモリー交換を

 カセット・メモリーを呼び起こすリバイバルグッズが、最近いくつも出てきている。その1つは英国のデザイン会社suckUKの『Mix Tape USB Stick』。これはカセットの真ん中をくり抜いて、USBメモリを装着できるようにした音楽ギフトパッケージだ。

suckUKの『Mix Tape USB Stick』、20ポンド(約4300円)

 カセットケースのパッケージに“手書き愛”をしたためることができるが、実はUSBメモリというグッドアイデア。64メガバイトのメモリへの録音形式はMP3やWAVでもOKだが、なぜ64メガバイトなのか? それは一般的なカセットが片面30分、両面で60分だったのをもじって、MP3の“high quality Music”で60分の音楽が入るのが64メガバイトだから。そこまで凝りますか! 

カセットウォレット

 イタリアのチャーミングなデザイナーmarcella foschiさんはカセットテープをリサイクルして“カセットウォレット(財布)”を作っている。廃棄されるカセットからテープメカニズムを取り出し、お財布にしてしまうというデザインアイデアが斬新。

以前日本の展示会でも販売していたカセットウォレット

 カセットも一点ならデザインも一点モノ。カセットという音楽文化をアイコン(象徴)にしてしまった“メモリーリサイクル”の商品化好事例だ。

(出典:カセットウォレット)

 ささいなことで別れたが、今も忘れられない彼女からの贈り物のカセット。あいにくテープもプッツンしてもう聴けない。それならカセットを2つに割ってお財布にしますか? う〜ん微妙だ。彼女に送ったカセットと、彼女からもらったカセットをバラして、表と裏にして“ペアカセットウォレット”を作りますか? う〜んさらに微妙。

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