著者プロフィール:郷 好文
マーケティング・リサーチ、新規事業の企画・開発・運営、海外駐在を経て、1999年より某会計系のコンサルティングファームのマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略、業務プロセス改革など多数のプロジェクトに参画。著書に「ナレッジ・ダイナミクス」(工業調査会)、「21世紀の医療経営」(薬事日報社)、「顧客視点の成長シナリオ」(ファーストプレス)など。現在、マーケティング・コンサルタントとしてコンサルティング本部に所属。中小企業診断士。ブログ→「マーケティング・ブレイン」
30歳以上の読者の皆さんは、棚の奥に眠っているカセットテープをどうしているだろう? 正確には「コンパクトカセットテープ」。1970年代から90年頃まで、音楽を聴くメディアといえばカセットテープだった。ラジカセ、カセットデッキ、そしてカセットウォークマンがオーディオの3大ギアだった。
持ち運びOK、落としてもめったに壊れない丈夫さ。空テープは1個100円という安さで、レコードやCDを空カセットに録音するのが音楽文化だった。好きな曲を録音して、1曲ずつ手書きで曲名を書いて、女子と交換したっけ。手持ちの古いカセットのパッケージラベルに女子の文字を発見してニヤリとする。デジタルでファイル交換することしか知らない“子ども”たちには、カセットに収録するメモリーの味わい、分からねえだろうな。
カセット・メモリーを呼び起こすリバイバルグッズが、最近いくつも出てきている。その1つは英国のデザイン会社suckUKの『Mix Tape USB Stick』。これはカセットの真ん中をくり抜いて、USBメモリを装着できるようにした音楽ギフトパッケージだ。
カセットケースのパッケージに“手書き愛”をしたためることができるが、実はUSBメモリというグッドアイデア。64メガバイトのメモリへの録音形式はMP3やWAVでもOKだが、なぜ64メガバイトなのか? それは一般的なカセットが片面30分、両面で60分だったのをもじって、MP3の“high quality Music”で60分の音楽が入るのが64メガバイトだから。そこまで凝りますか!
イタリアのチャーミングなデザイナーmarcella foschiさんはカセットテープをリサイクルして“カセットウォレット(財布)”を作っている。廃棄されるカセットからテープメカニズムを取り出し、お財布にしてしまうというデザインアイデアが斬新。
カセットも一点ならデザインも一点モノ。カセットという音楽文化をアイコン(象徴)にしてしまった“メモリーリサイクル”の商品化好事例だ。
ささいなことで別れたが、今も忘れられない彼女からの贈り物のカセット。あいにくテープもプッツンしてもう聴けない。それならカセットを2つに割ってお財布にしますか? う〜ん微妙だ。彼女に送ったカセットと、彼女からもらったカセットをバラして、表と裏にして“ペアカセットウォレット”を作りますか? う〜んさらに微妙。
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