なぜ人はストレスを抱え、損ばかりするのだろうか?内藤忍インタビュー(1)(3/3 ページ)

» 2008年08月21日 09時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
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なぜ投資を途中で止めるのか?

 集中投資をしていれば保有している株の価格が乱高下し、それに一喜一憂することがある。儲かっていれば気にならないかもしれないが、やはり損が出ると嫌な気分になるもの。投資を続けていく上で、どんなストレスがあるのだろうか。内藤氏は「思った通りの成果が上がらないストレス」と「資産運用自体が面倒になってしまう、続けるストレス」を挙げている。

 例えばBという株に投資をしていたが、何らかの不祥事によってB株が予想以上に低迷したとする。その状態が6カ月、1年、2年と続いていくうちに恐怖感から投資を止める人も多い。「投資家の心理として株価が上がれば買い、下がれば売る。これは行動心理学的にありがちなパターンだ」

 内藤氏は投資で失敗する人には共通点がある、という。「リスクを取り過ぎているために、損が出ると、自分の耐えられるレベルを超えてしまっている。損失に耐えられるレベルは年齢や収入などによって違うが、一般的に若い人ほどリスク許容度は高くなり、高齢になるほどリスク許容度は低くなる」。こういったストレスによる失敗をなくすために、「ストレスのかからないレベルにまでリスクをコントロールする必要がある」としている。

 もう1つの「続けるストレス」とは何だろうか。多くの個人投資家は投資を続けることが面倒になってしまい、途中で止めてしまう傾向がある。必要以上に情報収集をしたり、チャートを見て考えたりと、知らず知らずの間に神経をすり減らしているのだ。投資を始めたばかりは好奇心も重なって投資に関することに時間をかけているのだが、やがて飽きてきて面倒になる人は多い。そうした人が投資を続けるためには「手間がかからない方法を工夫すること。そして日常生活の中に資産設計を組み入れてしまうことが大切だ」という。

 「下がり続ける株価を見るのは面倒」と感じるのも無理はない。そうならないためにも分散投資であれば自分の資産を3カ月に1回程度、チェックするだけで十分だと内藤氏は指摘する。「分散投資のメリットは、雑草が生えるように自分の資産が殖えること。仕事が忙しくて投資にかける時間がなかったり、ストレスが嫌だという人は『分散投資』をした方がいいだろう」

 株価が低迷している今、運や勘だけで資産を殖やしていくことは至難のワザだ。しかし株価が低迷しているときには、低迷しているときなりのセオリーがある。次回は分散投資の効果などを紹介する。

 →なぜ人はストレスを抱え、損ばかりするのだろうか?

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