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» 2008年11月26日 12時57分 公開

地方都市・長崎で意外な成功!?――駅前デジタルサイネージ「ナビタッチ」の可能性神尾寿の時事日想(2/2 ページ)

[神尾寿,Business Media 誠]
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地域広告コンテンツも充実。観光スポット情報も

 ナビタッチの携帯サイトでは、ユーザー向けに周辺のデジタル地図を無料で提供するほか、周辺施設検索と連動した広告コンテンツの配信も行っている。この広告は「オススメ情報」という形でリスト上位に来るようになっており、飲食店など一部の店舗情報では店内やメニューの写真も用意されているなど本格的だ。表示灯としては、従来の周辺案内図の広告ビジネスに加えて、ナビタッチの携帯サイトで提供する電子広告を新たなビジネスとして捉えている。


 「現在、広告市場全体が大きな変革期にあり、その中でも『交通広告』と『ネット広告』は今後の成長分野です。表示灯は以前から全国2700カ所に駅周辺案内図ナビタを設置する事業を展開しており、この強みを生かした新ビジネスとして、2年前からナビタッチの企画開発に着手しました」(表示灯 クロスメディア事業開発部部長の増田卓也氏)

表示灯 クロスメディア事業開発部部長の増田卓也氏

 現在の広告ビジネス全体を見渡すと、若い世代を中心とした「テレビ離れ」や「新聞離れ」、メディアの多様化の影響で、4マス媒体※の広告費はすべて下がる傾向になってきている。特に凋落(ちょうらく)著しいのがテレビで、大手キー局から地方局まで広告収入は軒並み落ち込み、民放各社は経営悪化の波に飲み込まれている。一方で成長してきたのが、広告効果が見えやすいネット広告や、「交通」を軸に消費者の場所や時間を確保しやすい交通広告である。

※4マス媒体…テレビ、新聞、ラジオ、雑誌

 「ネット広告市場はどうしてもYahoo! JapanやGoogleなど大手ポータルサイトが有利になりますが、交通広告とネット広告の連動であれば、表示灯は以前から駅周辺案内図を事業化していましたので、『駅周辺の顧客を押さえる』ところに強みが出せる。また、デジタルサイネージ全体で見ましても、駅のメディア価値は今後さらに向上していくと考えています」(増田氏)

東京より利用率が高い「長崎のナビタッチ」

 駅のメディア化という視点では、東京や大阪など大都市の駅が圧倒的に有利なように思える。しかし、増田氏によると、「大都市の駅だから、(ナビタッチの)利用が必ずしも多いとは限らない。むしろ地方都市の方が有利な面もある」(増田氏)と話す。

 「ナビタッチでは長崎の他に、東京でJR東日本企画様と一緒にサービスを展開していますが、実は利用率では、長崎の方がいい結果を出しています。これは(ナビタッチが)観光客のニーズをうまくつかんでいるからです」(増田氏)

 先述のとおり、長崎のナビタッチはJR長崎駅のすぐ前に設置されており、九州各地から特急電車で長崎に入った観光客が、まず目にする場所にある。ここで「手持ちのケータイで、周辺案内図の地図や周辺検索サービスが利用できる」ことが利用促進の後押しになっているのだという。

 「東京都内の場合、駅利用者は確かに多いですが、通勤通学など日常利用で駅を訪れる人が多いので、周辺の地図や施設情報を必ずしも必要としない人も多いのです。しかし、観光地のターミナル駅だと、その土地に詳しくない人の利用も多いですから、周辺情報の必要性が高い」(増田氏)

 さらに長崎は観光地の中でも、人の「出入り口」が限られているのもポイントだろう。観光客が公共交通を使って長崎を訪れる場合、JR長崎駅か長崎空港のどちらかを使うケースが多い。観光客の出入り口が集約されているため、観光客の地図や周辺情報に対するニーズが掴みやすいという事情もある。

 交通広告ビジネスというと、どうしても“大都市のターミナル駅”でしか成り立たないものと考えがちだ。しかし、ナビタッチのように単なる広告媒体にとどまらず、ユーザーの利便にも繋がる地図サービス/ケータイ連携という形を取れば、長崎の観光需要のように意外なニーズを掴むことも十分に考えられる。アイディアとサービス次第で、大都市から地方の観光地まで、様々なビジネスが構築できる。

 この分野のサービスやビジネスは始まったばかりであり、今後の発展にはさらに期待できそうだ。

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