ホンダはなぜF1から撤退するのか?――社長会見を(ほぼ)完全収録(2/5 ページ)

» 2008年12月06日 07時00分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

400人近くの報道陣が集まる

 緊急会見の時間が伝えられたのは当日の11時過ぎ。それにも関わらず、東京・青山のホンダ本社には400人近くの報道陣が詰めかけた。質疑応答の模様を詳述する。

詰めかけた報道陣

――撤退を決断したのはいつ頃で、ドライバーにはいつ伝えましたか。また、エンジンやパーツなどのサプライヤーとなる考えはありませんか?

福井 会社として最終的に意思決定したのは昨日です。その後、速やかに関係者に連絡しました。エンジン供給などでの活動継続は考えていません。中途半端に参加したくはないと思っています。

――撤退を決断しての福井社長のお気持ちを聞かせてください。また、ドライバーやチームスタッフの契約がどうなるか教えてください。

福井 当初目標としていた成果を出せずに撤退、というのは大変私としても悔しいし、残念だし、ファンのみなさんには申し訳ないと思っています。それから何よりも、来年に向けたチーム強化ということで、F1チームに加入していただいたロス・ブラウンを始めとした優秀なエンジニアたち、ジェンソン・バトンを含めたドライバーに大変申し訳ないと思っています。

モータースポーツ担当の大島裕志常務

大島 チームスタッフとドライバーには本田技研での意思決定の後、(撤退を)お伝えしました。今後ですが、バトンとはドライバー契約をしておりました。従いまして、その契約解消の手続きをとっていきます。それなりのコスト(が必要になること)は当然考えております。

 チームスタッフについては、会社の売却を含めて考えていきます。今後英国の法律にのっとりまして、スタッフ代表と最長90日間の協議をして、この間に売却も含め、どのような形で収れんしていくかを決めていきます。

――ジェンソン・バトンとはドライバー契約を済ませていたということですが、撤退を伝えた時のバトンを含めた関係者の反応。誰からどのように伝えたかを教えてください。

大島 ホンダの意思決定の後、ニック・フライとロス・ブラウンには私から伝えました。彼らの反応は「非常に残念」ということでしたが、今の経済環境でホンダの置かれた状況を理解していただきました。今後のチームの収れんについてはきちんと私がリーダーシップをとってやっていくとお話ししました。

 まだ誰が伝えたか私は未確認ですが、ジェンソン・バトンへは、ニックもしくはロスのどちらかから伝えています。今の段階で私はジェンソン・バトンの反応についてお聞きしておりません。

――チーム売却の可能性ということですが、いつまでに売却できなかったらチームが解散という期限になるのですか?

大島 チームの見通しについては、まだこの決定がされて動き出したばかりなので、今は何とも申し上げられません。期間についても、今申し上げられることはございません。ただ、来シーズンのスタートの時点を考えると、早急に決めないと話は成立しないというのはロス・ブラウンもお分かりになっています。

――チーム売却先について、ホンダとして「こういう企業がいい」といった考えはありますか?

福井 売却先に関しては、現在数百人いる現地のF1チームのエンジニアたち、彼らができるだけいい形で継続できるならそれが一番だと思っています。それ以上は分かりません。

――ホンダの社員ではなく現地採用のF1の社員として雇用されている方は現在何人くらいいますか。エンジンだけでも供給される気はないということですが、エンジンレスでチームを売却できる見込みは本当にあるのですか? 今後チームの処理に関して、何にプライオリティを置きますか?

大島 HRF1(Honda Racing F1)にはおよそ700人、HRD(Honda Racing Development)には40人ほどの社員がいます。

 確かに今開発しているマシンは、ホンダのエンジンベースです。(ホンダはエンジンをもう作らないので)今あるエンジンである程度の活動を行えないかということで、検討しています。売却額などについては、チームとしての存続が可能であれば非常に低い金額でもいいのではないかと私は考えています。

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