後悔しない婚活必勝法――“海辺の美女問題”に学ぶ合理的選択現役東大生・森田徹の今週も“かしこいフリ”(1/3 ページ)

» 2009年03月31日 07時00分 公開
[森田徹,Business Media 誠]

著者プロフィール:森田徹

1987年生まれ、東京大学教養学部文科二類在学中(4月から経済学部経営学科に進学予定)、聖光学院中高卒。現在、東大投資クラブAgents自民党学生部東京大学裏千家茶道同好会のサークルに所属している。投資・金融・経営・政治・コンピュータ/プログラミングに興味を持つ。日興アセットマネジメント主催「投信王 夏の陣」総合個人優勝、リーマン・ブラザーズ寄付講座懸賞論文最優秀賞。


 筆者は個人的に痛いニュース(関連リンク)が好きで、RSSリーダーの巡回サイトに登録しているのだが、そこでしばしば取り上げられるのが“理想が高すぎて結婚ができなかった売れ残りの女性”の痛い発言だ。自分の市場価値が落ちているから妥協をするべきだと自覚をしているのに、なかなか妥協できない――そんな姿勢が好奇の目を引くのだろう。幼少のころから「夢と理想は高く」と教え込まれている我々に、配偶者問題だけをとって妥協を求められるのは、なかなかに難しいものがある。

 それに関連して、Business Media 誠の堀内彰宏記者が簡単な思考実験(関連記事)を行い、女性は27歳から妥協を考え始めるべきだという結論を出していた。これはこれで興味深い考察だ。

 とはいえ理想が高いのは筆者も他人事ではないので、今回は数学に答えを求めよう。適用事例としては「海辺の美女問題」や「美人秘書採用問題」で有名な「最適停止問題」である。というわけで今回のテーマは、恋人探しや婚活をおこなう時にどのレベルで妥協するのが正解か、すなわち「文系人間が無謀にも語る“数学的”婚活必勝法」である。

「海辺の美女問題」とは何か?

 この最適停止問題、日本オペレーション・リサーチ学会のOR事典Wiki(関連リンク)によると「逐次に観測される確率変数列に基づき、期待利得を最大化したり期待費用を最小化するためにある行動を取る時刻を選ぶ問題」ということらしい。これだけではよく分からないので、ざっくり説明すると「n個の数字を1つずつ見ていって、1回見た数字は選択しない限りその場で破棄されるとすると、最も大きい数字を選ぶ(あるいは期待値を最大化する)ためには、どういった戦略をとればいいのか(最小化問題もあり)」という問題だ。

 これを「海辺の美女問題」に適用すると以下のような状況になる。すなわち「海辺にいるn人の美女(何かしらの基準で順位付けができる)を順番に見ていって、一度素通りした女の子には後から声はかけられない。そんなケースで、最初から見て何人目で何番目に魅力的な女性をナンパしてデートに誘う戦略をとれば、1番とは言わないでもそれなりにランクが高い女性を選べるか(順位期待値の最小化)」という極めて悩ましい問題だ。これが半世紀も前から研究されているのだから、さすが昔の数学者の想像力もバカにできない……。

 「美人秘書選択問題」も似たようなもので、n人の秘書候補の面接を行うとき、最もランクが高いと期待できる秘書を採用するには? という話になる。もちろん、別に適用するのは美男子だろうがなんだろうが構わない。だから女性読者は「イケメンSランク執事採用問題」か「愛されガールの告白受容問題」とでも読みかえてほしい。(後者は自分が社内・校内の男性の何%から告白されるのかという自分の“モテ力”を客観的に把握できることを前提にしているのでやや難しいかもしれないが……)

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