著者プロフィール:中村修治(なかむら・しゅうじ)
有限会社ペーパーカンパニー、株式会社キナックスホールディングスの代表取締役社長。昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。
今年の新入社員である「ハチロク世代」はビジネス的に、何かやらかしてくれそうな予感がある。かつて「新人類」と呼ばれていた40半ばのおっさんは、実はその世代の動きが、とても驚異だし気になっているのだ。
@IT自分戦略研究所「ハチロク世代がやってくる」の記事によると、「ナナロク世代」とは1976年前後に生まれたWeb系企業の起業家や技術者で、mixiの笠原健治氏、はてなの近藤淳也氏、GREEの田中良和氏、paperboy&co.の家入一真氏、DeNAの川崎修平氏、Six Apartの宮川達彦氏、ニワンゴのひろゆき(西村博之)氏などがそれに当たるという。
「ハチロク世代」とは、それから10年後の1986年前後に生まれた世代を指す。小学校の前半には「Windows 95」が発売され、「Yahoo! Japan」がスタートする。インターネットの普及とともに自我を目覚めさせて行った世代なのである。
中学校に入学に合わせてNTTドコモの「iモード」がスタートし、携帯電話の文化が本格的に花開く。そして中学〜高校生時代には、2ちゃんねる、Google、Amazon、Winnyなど、インターネットの清濁併せのむ文化に「ハマった」者たちをこの世代は内包する。
そして大学生になる(2005年以降)と、いわゆる「Web2.0」の時代を迎える。「mixi」や「GREE」といったSNS、「YouTube」などの動画共有サイトなどを、大学生である彼らは享受してきたことになる。
まさしく、「Web文化とともに育った」のが「ハチロク世代」。
下宿しているアパートに「黒電話」をやっとこ引けたのが大学4年生の時だったなんてエピソードを語るような私たち世代とは、コミュニケーションを考える前提が、まったく違うと考えた方が良い。
そんな「ハチロク世代」が最近、やらかしてくれた素敵な事件がある。ネット上では、少し話題になっているのでご紹介する。そこには、おっさんから見ても羨(うらや)ましい「時間感覚」と「狂気」を感じる。間違いなく、そこにはビジネスの未来がやって来ている。
その素敵な事件は、“Open Source”&“Wisdom of Crowds”に多大なる期待を抱く少年の試みをテーマとした「日本にもシリコンバレーを」というWebサイトで起こっている。
「ハチロク世代」のバイブルは、2年ほど前に話題になった『ウェブ進化論――本当の大変化はこれから始まる』(ちくま新書)。その著者である梅田望夫さんの新刊『シリコンバレーから将棋を観る――羽生善治と現代』(中央公論新社)に、さらに感銘を受けたサイト主催者が、著作内に書かれている著者の呼びかけ
本書の全部または一部を、英語はもちろん中国語でも韓国語でもスペイン語でもフランス語でも、どなたが何語に翻訳してウェブにアップすることも自由、とします(許諾の連絡も不要です)
「それならやるっきゃないですね」と言うことで、みんなでこの著作を英語に翻訳しようという試み=「シリコンバレーから将棋を観る」全訳プロジェクトに挑戦した。始まったのは、今年のゴールデンウィーク中の4月29日のことである。
すると、な、なんと……5月5日には、全訳が終わってしまったと言う報告がされている。未熟な英訳であると自認した上で、「十数名のメンバーではできることに限界がある。でも、1億2000万人のメンバーができることには希望がある」と、その公開に踏み切っている。
このスピード感は、どうだろう。このポジティブさは、どうだろう。感服だ。
そして驚くべきは、本当にサイトを見た有志達が本当に集まって、役割&機能分担をしながら進められているプロセスだ。翻訳を終えた5月7日のサイト上には、こんなことが書かれている。
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