『週刊プレイボーイ』を悩ませていること……それは?集中連載・“週刊誌サミット”(1/2 ページ)

» 2009年06月02日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 米国の『PLAYBOY』を日本向けに再編集した『月刊プレイボーイ』。1975年の創刊当時の発行部数は90万部にも達していたが、ここ数年は5万5000部ほどに低迷。これを受け、集英社は2009年1月号(2008年11月発売)を最後に休刊した。

 同じく集英社の雑誌ながら、『月刊プレイボーイ』とは直接関係のない『週刊プレイボーイ』は発行を続けているが、部数の落ち込みは激しい。1990年の部数は68万部だったが、2008年には22万部と、3分の1ほどに減少している。追い詰められた苦しい状態の中、2008年7月に編集長に就任した樋口尚也氏はどのような方針を示しているのだろうか?

※この記事は、5月15日に開かれた“週刊誌サミット”の内容を掲載しています。

『週刊プレイボーイ』は“カネ食い虫”

『週刊プレイボーイ』編集長の樋口尚也氏

元木昌彦(司会):私の若いころは『平凡パンチ』や『週刊プレイボーイ』などが、とても輝いていた。最近の『週刊プレイボーイ』では裁判員制度を熱心に取り上げているが、樋口編集長には今後の“生き方”などをうかがいたい。

樋口尚也:先ほどから皆さんのお話を聞いていると、壇上にいてる(編集長またはOBの編集長)方はかなりの確率で被告人であったようだ(笑)。ちなみに私はというと、残念ながら訴えられたことがない。ここに来るまではちょっとした誇りだったが、田原さんや佐野さんから「今の編集長は度胸がない」「訴えられて当然」といったことを聞くと、1回くらい訴えられても良かったかなあとも思っている(笑)。

 集英社から出版されていた『月刊プレイボーイ』※は、私が言うのもなんだが、本当にいい雑誌だった。私が入社するときに、働いてみたかったのは『月刊プレイボーイ』。(『月刊プレイボーイ』には)ジャーナリズムがあり、エンターテイメントがあり、文学があり、といった器の大きな雑誌だった。まだバブル経済のときだったので、それなりに広告も入っていて、とてもキラキラ輝いていた雑誌だったと思う。

※『月刊プレイボーイ』は米国の『PLAYBOY』を日本向けに再編集したもの。しかし集英社は『月刊プレイボーイ』を2008年11月発売の2009年1月号をもって休刊する、と発表した。

 出版不況という影響を受け、集英社も大変厳しい。そうした状況の中、ハッキリ言って『週刊プレイボーイ』は、スタッフも多く“カネ食い虫”だ。雑誌が売れていれば、お金を印刷しているようなもの。しかし売れなくなると、ドンドン赤字が膨らんでいく媒体だ。今は本当に苦しい状況だ。

内容証明郵便は“脅し”?

 我々(『週刊プレイボーイ』編集部)は毎週、「雑誌を売らなければならない」上で、悩んでいることがある。それは女の子だ。水着になってくれるアイドルやヌードになってくれる人をどうキャスティングし、どう見せていくか、ということに頭を悩ませている。一方で、『週刊プレイボーイ』というのは“ナンパ”な雑誌ではなく、時折硬派な記事もある。この点が読者から支持されているのだろう。

 私は2008年の7月に編集長に就任した。その後「内容証明郵便」は届いているが、訴えられたことはない。その内容証明郵便も、現与党の選挙対策委員長をされている方から届いた。(『週刊プレイボーイ』では)「新幹線の新駅がなぜここに?」といった内容を、遠回りではあるが、「さすが実力者!」と、持ち上げるようにして書いた。しかしこの記事について、内容証明郵便が届いたのだ。

 さきほど『週刊朝日』の山口編集長も言っていたが(関連記事)、訴訟もビジネスになっているところがある。内容証明郵便は弁護士の名前で届いたが、事実関係で争う個所ではないところを指摘するなど、それはずさんなものだった。

 とはいいつつ、我々はこういった類に慣れていないので「大変だ」と感じ、顧問弁護士に相談した。すると顧問弁護士は「これは本気ではないだろう」「本気で訴えるのなら、こんなずさんなことはしない」と言っていた。つまり(先方は)「1回脅せばなんとかなるのでは」と、思っていたのだろう。

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