山口智子さん、Jリーグ選手協会、京急百貨店――この3つに共通するものは?郷好文の“うふふ”マーケティング(1/2 ページ)

» 2009年06月18日 07時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷 好文

マーケティング・リサーチ、新規事業の企画・開発・実行、海外駐在を経て、1999年より2008年9月までコンサルティングファームにてマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略、業務プロセス改革など多数のプロジェクトに参画。 2008年10月1日より独立。コンサルタント、エッセイストの顔に加えて、クリエイター作品販売「utte(うって)」事業、ギャラリー&スペース「アートマルシェ神田」の運営に携わる。著書に『ナレッジ・ダイナミクス』(工業調査会)、『21世紀の医療経営』(薬事日報社)、『顧客視点の成長シナリオ』(ファーストプレス)など。2009年5月より印刷業界誌『プリバリ[印]』で「マーケティング価値校」を連載。中小企業診断士。ブログ→「マーケティング・ブレイン


 女優の山口智子さん、Jリーグ選手協会、京急百貨店。この3つに共通するのは何?

 このナゾナゾ、正解者は多くないはず。ある制度の関係者やサービスの提供者を除けば、まず答えられない問題だ。3者の共通点は“フォレストック認定”。これは、森林のCO2吸収量を購入(カーボンオフセット※)する人に、日本林業経営者協会が認定証を発行するというもの。認定書ナンバーの“003”(下写真)とは最初の認定者である山口さん、2番目のJリーグに次いで、3番目が京急百貨店であることを示す。

※カーボンオフセット……温室効果ガスの削減活動に投資することなどにより、排出される温室効果ガスを埋め合わせるという考え方。

ネクタイでecoを!

 京急百貨店が父の日に向けて打ち出した“楽eco”のキャンペーン中に、ネクタイを買うとCO2削減に貢献できるのだ。仕組みの詳細は後にして素朴な疑問。

 「なぜ環境貢献でネクタイなんですか?」

 そう私が尋ねると、ハートフルサービス紳士服部用品雑貨ショップの高山咲子セールスリーダーが「クールビズでもネクタイを外せない職場の人もいらっしゃいます。そんな職場の方々もエコに貢献したいという思いはあるはず。それで参加意識を持っていただこうと提案をしました」と答えてくれた。

かりゆしを持つ高山さん

 クールビズが浸透したことで、今や通年でノーネクタイの職場も増えた。今年も開襟オヤジたちが跋扈(ばっこ)し始めて、ネクタイ姿はますますマイノリティになり、ネクタイ売り場は逆風に見舞われている。でも、夏でもネクタイをびしっと決めてクールに働くオトコもかっこいい。「ネクタイのマイナスイメージを払拭してecoに貢献できます」というメッセージを送ることが高山さんの提案だった。

 提案したのは、中元商戦まであと1カ月半と迫った4月のこと。当然ながら関係者はあわてたという。経営計画部の成田光治部長補、山下健介マネージャーが大急ぎでフォレストック認定を取り入れた。

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