買い気の乏しい中で売りが売りを呼んで大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年07月13日 16時07分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
前のページへ 1|2       

明日の相場雑感

 週末の米国市場が底堅く、為替も落ち着いていることから日本市場も底堅い展開が期待されました。都議選の結果も想定の範囲内、また、国政選挙でないということで、影響もほとんどないものとされ、寄り付きの売りが一巡した後は戻りを試す展開となりました。ただ、持高調整、信用収縮に絡む見切り売りがかさんで軟調となると損失限定の売りもかさみ大幅下落となりました。特に売り急がなければならない材料もなかったのですが、売りが売りを呼ぶ格好で大幅下落となりました。

 さすがに8日連続下落となると反発も期待されましたが、あいかわらず見切り売りがかさみ大きな下げとなったものと思います。ここまで来ると日経平均の続落記録を調べたくなりますが、続落日数の1位は1954年4月から5月の15日間、2位は1949年11月の13日間とずいぶんと昔の話になります。3位の12日間になると昨年6月19日から7月4日、と1953年であり、5位の10日間が2回あり、次が9日間なので本日の下落で同率7位の記録となりました。

 昨年の下落記録は記憶に新しく、ちょうど住宅金融会社の経営破たんなどが取りざたされているところでの下落でした。昨年10月、11月の下落でも続落記録は作っておらず(値幅はすさまじいものがありましたが)意外なところで、記録的な続落となりました。今回の続落もはっきりと「これ」と言う理由もなく、漠然と「米国雇用統計の悪化を受けて景気回復の遅れを嫌気して、商品市況なども軟調となったから」などと説明されていますが、大きな理由は昨年10月、11月の下落、今年2月から3月の下落と同じ「恐怖感」ではないかと思います。

 また、ミニ先物や「信用売り」が身近になったことで売り方の回転が効いているということも、今年2月から3月の下落と同じ要因であり、後は持高調整と見られる信用収縮=リスク許容度の減少による、「売り切り」がどこで終了し、買戻しが入って来るかというところです。「もうはまだなり、まだはもうなり」と言うことも言い飽きましたが、9000円と言う節目、高値から1割の下落などと言う水準まで下落したことや、「ロスカットルール」や「追証に絡む売り」が出ていること、また、「続落記録」などを持ち出してくる向きが現れたのですから、そろそろ底入れとなって、少なくとも半値戻り、9500円程度までは戻るのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.