日米の予想を上回る経済指標の好転を受けて大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年08月10日 16時04分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
前のページへ 1|2       

明日の相場雑感

 日米の好調な決算に続き経済指標も景気回復の兆しが見られることから株価も堅調、連日の年初来高値更新となっています。目先的な過熱感が強いこともあり、利益確定売りに押され上げ幅を縮小する場面もありましたが、節目と見られる日経平均10500円水準を超えて大幅高となり、今度は昨年10月の暴落前の水準である11000円前後の水準を目指すことになりそうです。一部ディフェンシブ銘柄に軟調なものも見られますが、金融株も高く、TOPIXも年初来高値更新となりました。

 日米共に比較的決算が好調で、その流れを受けて、経済指標も徐々に景気回復の兆しが見られる結果となっています。米国でのモノライン(金融保証会社)や住宅抵当公社(ファニーメイ)の赤字決算なども気にはなるのですが、経済の市場全体が商品市況も含めて改善しており、景気回復期になったと見てもいいのでしょう。景気が大底から回復していく過程では「景気回復が実感できない」と言うことでなかなか景気の回復も認め難いのですが、高速道路の混雑や一時期に比べて一般道路も平日の道路も混雑をしていることを見ると、回復しているような気がします。

 以前から、景気回復や景気の悪化を実感として分かるには、というより、例えばいつも行く百貨店の駐車場が異様に混雑するようになった、とか、いつもの通勤時間よりも道路の混雑で時間がかかるようになった、などという身近なことで景気の回復などを実感することが出来るのではないかと思います。また、「景気が悪い」ということを「何もしない」ことの言い訳のようにしている向きもあり、本当に悪いのかどうか、「悪くなる」と思い込んでいるに過ぎないのか、などを冷静に判断した方がいいでしょう。

 高速道路の大渋滞やETCの品切れ、「エコポイント効果」などもあって、全ての業種・業態が一斉に景気回復とはならなくても徐々に回復はしているのではないかと思います。雇用問題にしても、「派遣切り」などと騒ぎすぎたものだから、本来であれば「派遣社員」を雇いたいところを何かと問題にされる「派遣社員」を避ける形で、人でのやりくりをしているようなところもあり、思い込みや周りの雰囲気に流されずにもう少し素直に周りの状況を見てもいいのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.