第14鉄 「きらきらうえつ」で眺める、とっておきの夕陽杉山淳一の +R Style(2/4 ページ)

» 2009年10月03日 07時30分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

観光用、全席指定の「快速列車」

 ジョイフルトレインとは、主に観光用途を目的とした専用車両を使った列車を言う。485系700番台は4両編成で、前後の運転台付近は展望室、中間の1両はラウンジが設けられ、隣接した売店で購入した飲食物を楽しめる。座席は一般の特急列車の普通車に似ているが、窓は大きく、天井は高く、座席の位置も少し高い。ハイデッカーの観光バスの列車版という趣だ。座席の前後スペースもゆったりしている。ベースは特急用車両なので乗り心地もスピードも快適。これに特急料金不要で乗れるとはお買い得だ。「きらきらうえつ」は快速列車扱いのため、特急券や急行券は不要である。ただし全車指定席だから、乗車券の他に指定席券として510円(時期により310円)が必要となる。

2号車はラウンジカー(左)。グリーン車並みにゆったりと配置された座席(右)

 さて、先に記した運行時刻からも分かるように、この列車で夕陽を眺めるなら上り列車の新潟行きに乗ろう。そしてチケットを手配する前に、日没の時刻もチェックしておきたい。「きらきらうえつ」が日本海にピッタリ沿う区間は小波渡駅の先から村上駅の手前まで。時刻は16時40分ごろから17時40分までの1時間だ。この時刻を元に、国立天文台のWebサイトで日の入りの時刻を調べると、だいたい9月下旬から10月末日、1月中旬から2月末日あたりが最適な時期になる。もっとも冬の日本海側は晴れの日が少ないから、やっぱり10月が良さそうだ。

 もっとも、この海沿いの区間でも「きらきらうえつ」の車窓は、ずっと海が見えているわけではない。ちょっと残念なことに、トンネルがとても多いのだ。海岸線まで山が迫っているところで、鉄道や道路敷設の難所だったところである。だから、海沿い区間は長短のトンネルが断続的に続く。しかし、そこがまたいい。トンネルを抜けるとパッと海が見えて、またトンネル、また海が見えて、トンネル。それはまるで、スライド映写機で風景写真を見ているような感覚だ。

車窓から日本海を眺める

 しかも、海が見えるたびに海岸や岩の表情が変わる。刻々と明るさも変わっていく。平板な海岸線が続く風景よりも楽しめる。ついでに言うと、少しでも海を眺める時間を増やしたいなら、新潟駅発の下り列車がオススメ。なぜなら、下り線のほうがトンネルが少ないから。羽越本線は当初、単線で海沿いに建設した。当時の技術と予算では長いトンネルを掘れなかった。羽越本線を複線化するにあたり、下り線は旧本線を使い、上り線を新設した。上り線はずっとあとに作られたので、トンネルを増やし直線的に敷設された。

 「きらきらうえつ」に乗るなら、海の景色の下り列車か、夕陽の上り列車か。悩ましいところだ。もちろん、新潟起点で往復とも乗ってもいい。

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