もしあなたが上り列車に乗り、車窓のついでというだけではなく、存分に夕陽を満喫したいなら。そして、夕陽を浴びて盛り上がった勢いで恋人に大切な話をしたいなら、究極の乗車日を伝授しよう。
それは2009年なら10月11日、12日、18日だ。なぜなら、この3日は「きらきらうえつ」の運行時刻が変わり、夕陽の名所「笹川流れ」最寄りの桑川駅で約50分も停車するから。夕陽の名所を存分に楽しんでほしい、というJR東日本の粋な計らいだ。酒田駅の発車時刻が約50分繰り上がり、その時間を桑川駅で停車して、ふだんと同じ時間に新潟駅に着く。これは「夕陽ダイヤ」と呼ばれていて、時刻表にもちゃんと掲載されている。
夕陽ダイヤの「きらきらうえつ」に乗ると、日本海沿い区間では刻々と太陽が傾いていく。トンネルを出るたびに海の輝きが増していく。まるで、空と海に太陽があるようなまぶしさだ。桑川駅に着くと、車内放送の案内にしたがって、乗客のほとんどが降りる。嬉しいことに、ここでは地元の人々の歓迎行事も開催される。2008年の10月に私が乗車したときは、まず岩海苔の味噌汁が振る舞われた。夕暮れの空気が冷たいだけに、温かい味噌汁がうれしい。
続いて地元の特産品の利き酒会。日本酒、ワイン、飲むヨーグルトなど、小さなカップで提供される。並んで歩いているうちに、全部試してしまう。酒に弱い私はこれだけで良い気分。身体が熱くなって、夕陽鑑賞の間も寒くなかった。夕陽が落ちるまでの時間は獅子舞などで楽しませてくれる。これらはすべて無料。こちらは乗車券と指定席券だけで訪れているのに、おトクというか申し訳ないというか……。もっとも、無人駅の桑川には「道の駅道の駅笹川流れ」と「夕日会館」があり、試飲した酒の他に海産物なども販売している。乗客のほとんどがお土産を買っていて、それなりに売り上げもあるようだ。
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