米国株が連日の大幅高となったことから買い先行で始まり、外国人が買い越しと伝えられたこともあり、さすがに今日は高くなりました。ただ、節目と見られる9800円を一気に抜けるような展開にはならず、円高ということもあり上値は限定的となりました。景気回復を期待した腰の据わった買いが見られるということもなく引き続き持高調整の売り買いの中で戻りを試す展開となったものと思います。
昨日の相場で特に理由のないのに大きく下落した銘柄がいくつか散見されました。時々、SQ(特別清算指数)算出の前や20日頃にまとまった売り買いがいくつかの銘柄に見られることがあり、そうした動き=つまり、持高調整の一環ではないかと思います。以前から市場で何が起きているのかを知ることが大切と述べてきましたが、突然、理由もなく売りがかさんで大きく売られたときなどは市場では「異常事態」である可能性が多く、下落の始まりというよりは「セリングクライマックス」と言うことが多いのではないかと思います。
チャートで「たくり足」とか、「切り込み線」だとか言う形で底入れとなることがありますが、いずれにしても「売りが出尽くした」ことから反発となるケースが多いということで、「底入れのパターン」とされるものです。これと同じ様に、持高調整の売りで大きく下落した場合などは一気に、その日のうちに処分をするために大量に売ったという場合が多く、売りが止まって切り返すことが多いのです。そして、その日のうちに切り返せば「たくり足」となり、次の日に大きく下落したのを見て売りが出たあとに切り返すと「切り込み線」となるのです。
相場も漫然と高い、安いと見ているよりは何がどうして売られて、何がどうして買われているのかをしっかりと考えておけば、次の展開が読めるのでしょうし、その動きを示してくれているのが、「ローソク足」に代表されるチャートということなのです。相場分析にしてもチャート分析にしても中身をしっかりと分析することが大切、と言うことなのです。
慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤」
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