うっかりをなくしたい!――ある慌て者の告白郷好文の“うふふ”マーケティング(1/2 ページ)

» 2009年10月08日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷 好文

マーケティング・リサーチ、新規事業の企画・開発・実行、海外駐在を経て、1999年より2008年9月までコンサルティングファームにてマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略、業務プロセス改革など多数のプロジェクトに参画。 2008年10月1日より独立。コンサルタント、エッセイストの顔に加えて、クリエイター作品販売「utte(うって)」事業、ギャラリー&スペース「アートマルシェ神田」の運営に携わる。著書に『ナレッジ・ダイナミクス』(工業調査会)、『21世紀の医療経営』(薬事日報社)、『顧客視点の成長シナリオ』(ファーストプレス)など。2009年5月より印刷業界誌『プリバリ[印]』で「マーケティング価値校」を連載。中小企業診断士。ブログ→「マーケティング・ブレイン


 告白しよう――私はうっかり屋である。

 おバカなうっかりは枚挙にいとまが無い。誤字脱字は日常茶飯事。この連載も編集者さんの眼光ピカリなしにはアップできない。信じられないかもしれないが、先般は取材先の方にも脱字を訂正していただいた。本業のクリエイティブ事業のWebサイト制作では、見直したはずなのに、なぜかURLの張り間違いが絶えず、やんわりの修正依頼メールがどっさり届く。最近結婚した友人にメールを出しても「届かない」と言われ、「2度も送ったよ、キミのOutlookの迷惑メールフォルダにあるんじゃない?」と抗弁したら、前の姓のメアド宛てに出していた。

 最近やってしまったうっかりはこれ。インサートカップを入れずに、カップホルダーの穴に向かってお茶をいれた。なぜそんなことをしたのか分からない。ただ、お茶はむなしく、床に向かってドドドと放流された。うっかりを通りこしてがっかりした。

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うっかりタイプを整理してみた

 無論うっかり屋は私だけではない。いまだ記憶に新しい「ジェイコム株誤発注事件」(証券会社の担当者が「61万円で1株売り」とすべき注文を「1円で61万株売り」とコンピュータにうっかり入力)、起きていないのに緊急地震速報(気象庁のはシステムのうっかり、NHKではボタン操作のうっかり)、うっかり置き去りにされた箱根登山鉄道の車掌が、次の駅まで全力ダッシュで追いついた事件(?)は、頭はうっかりでも足腰はしっかりしていた。

 きっと地球人の何割かはうっかり屋なのだ。しかし、うっかりで落命する前にボクメツを祈願するため、うっかりタイプの整理をしたい。

  • 突発性うっかり:読み間違い、勘違いなど、ささいな原因で発生するがっかり。
  • 反復性うっかり:分かっているはずなのになぜか繰り返してしまううっかり。
  • 特異性うっかり:標準思考・行動ができないゆえ発生するうっかり。
  • 認知性うっかり:おバカないし加齢効果のうっかり。

うっかりを解析してみよう

 突発性うっかりは、しっかり屋でさえも、しでかすエラー。何十手も先読みする将棋や碁のプロでも、相手の布石をうっかり見逃すことがある。「大局をうっかり忘れる」のだという。ということは、うっかりが少ない人は、全体思考ができて、しかも先のことを見通せる人なのか。

 うっかりを反復する“うっかり慢性人”は問題だ。性格は冷静沈着であるはずがなく、つまり慌て者(私)。早合点して人の話を聞かない。良く言えばおおらか、実態は大雑把。血液型はO型がクサい(私)。もちろん完全犯罪にはまったく向いていない。

 また、整理下手とうっかりはウラハラ。整理下手だから見落としがある。PCのファイル整理が下手だと、保存ミス・送信ミスなど、連続うっかり事件のタネをまくことに。加えてうっかりさんは、計画的作業にも弱い。その場しのぎ、計画を作ってもあいまい。仕事を重要度順ではなくLIFO(後入れ先出し)でやってしまう。順序を付けて安心しても、後でやろうとして忘れる。ああ私そのもの、最悪だ。

うっかりは気の毒

 特異性うっかりは、反復うっかりよりは言いわけが通用する。世の中一般のシステムや手順と、うっかり屋の思考回路が違うことから発生する。

 缶飲料のプルトップやシャンプーのポンプなど、誰にでも使えるユニバーサルデザインはうっかり屋にやさしい。でも世の中、すべてのモノがユニバーサルではない。例えばGoogleカレンダーでは、うっかりすると自分の予定をWeb上で公開してしまう。「デートの予定を公開してしまい二股がバレた」などといううっかりがありそうだ。

 こうなる理由は、初期設定が“公開”になっているから。「カレンダー=自分だけのもの」という思考回路を持つ人には、“公開/非公開”というシステム思想が飲み込みにくい。システムはこうなんだ、という思考ができないから、うっかりしてしまう。おバカというよりはむしろ、時代の変化に取り残されて気の毒な存在なのだ。

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