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» 2009年10月09日 10時00分 公開

劇的3時間SHOW:『咲-Saki-』『鋼の錬金術師』の田口浩司プロデューサーが語る、儲かるアニメの作り方 (3/6)

[堀内彰宏,Business Media 誠]

 シュールギャグは、ビジネスとしてやるのは非常に難しいです。例えば、子どものころに流行したギャグマンガがあると思うのですが、改めて読み返した時、面白いと思うものはありませんよね。僕自身も学生時代にはまったギャグマンガを今読み返すと、「え、こんなので笑ってたの」と思うことがあります。お笑いタレントが中々2年、3年と残れないのと同じように、旬があるので、それを外してしまうとえらいことになってしまう。だから、大量のお金が投下できないのです。でも、やってみたいんですね、これは。ということでやってみたのが『天体戦士サンレッド』です。

『天体戦士サンレッド』公式Webサイト

 後ほど詳しく話しますが、テレビでアニメを流すには非常にお金がかかります。全国ネットで流すとえらいお金になってしまうということで、この番組に関しては、舞台が神奈川県の溝の口だったので、テレビ神奈川単局+ニコニコアニメチャンネルでやってみました。書店での単行本の売り上げを見ると当然、神奈川県が圧倒的に強いのですが、じわじわ火が付いていて、何とか当たっているという部分があります。

 このビジネスモデルは、僕の友人がやっている『The World of GOLDEN EGGS』というアニメからいただきました。『The World of GOLDEN EGGS』はケーブルテレビなどでじわじわやっていきながら、5年間で火がついて、今となっては知る人ぞ知る作品、テレビCMに使われたり、子どもがものまねをしたりするキャラクターに育ちました。『天体戦士サンレッド』も面白さが伝わるのに時間がかかる作品で、全国ネットで流して単行本の売り上げで費用を回収することはできないタイプだと思ったので、同様の戦略をとりました。

 また、『とある魔術の禁書目録』というアスキー・メディアワークスのライトノベルのコミック版をうちがやっていて、このアニメ化を「U局(独立UHF放送局。キー局を中心としたテレビネットワーク系列に属さない放送局)でやるか、キー局でやるか」でもめたことがあります。僕はそれまでU局を使ったことはなかったので、「キー局でやらないと怖いよ。当たらないよ」と言ったのですが、U局を主張する人たちには経験則があったのです。

 『涼宮ハルヒの憂鬱』や『灼眼のシャナ』はU局で放送して、それがYouTubeやニコニコ動画にアップされることによって全国の人が見て、結果的にDVDや原作の売り上げが伸びました。そういうパターンもあるので、『天体戦士サンレッド』ではテレビ神奈川+ニコニコアニメチャンネルという作戦をとってみました。これはネット社会になって、皆さんがそういったものを見れるからこそできることなのですが、リスクを最小限に抑えた1つの新しいビジネスの形かなと思っています。

 最後は王道少年漫画ですが、市場としてはやはりこれが一番大きいです。このビジネスをやる以上、絶対にここに立ち向かっていかないといけない。これに関しては、さすがにニコニコ動画やYouTubeで仕掛けるわけにはいかないと思っています。このジャンルのタイトルが『鋼の錬金術師』になります。

 2003年の10月から1年間放送して大ヒットしたのですが、原作が5巻しかなかった時期に始めました。5巻しかないので1年もののアニメができるわけはなく、大体6カ月分は原作に沿って、残りの6カ月はアニメオリジナルを作りましょうということでやりました。その後原作が23巻まで出たので、また違った作品を作れるのではないかなということがあって、4月から新しい作品、『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』をお見せしています。リメイクというよりは、まったく新しい作品として作っていると我々は考えています。

『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』公式Webサイト

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