久しぶりに富山港線を訪れた。前回は2005年で、この路線はJRの富山港線という名だった。たった1両の小型ディーゼルカーが、ほんの数人のお客を乗せてのんびりと走っていた。日中の運行頻度は1時間に1本。「ひなびたローカル線」という印象だった。
もっとも、沿線に建物は多いし、終点の1つ手前には競輪場もある。「うまく立ち回れば、もう少しお客が増えそうだ」と思ったのを覚えている。
あれから4年がたった。JR富山駅を降りると、北口の駅前には、花で飾られた開放的な駅があり、丸っこくてかわいらしい電車が止まっている。富山ライトレールの「富山駅北」駅だ。この電車は、ここから富山港駅付近の岩瀬浜駅までを24分で結ぶ。
ローカル線を再訪するとき、そこには少なからず懐かしい感情が湧くものだ。しかし今、富山駅北口の佇まいにそれはない。それも当然で、富山駅北はJR富山港線が富山ライトレール富山港線に“改造”されたときに、新しく作られたルートにある。富山港線をLRTにするときに、もっと便利にしようと、富山駅付近の線路は街中の道路内を走るように付け替えられた。ここから2つ先の奥田中学校前駅までが、新たに建設された併用軌道だ。路面電車のようなスタイルで、将来はJR富山駅の向こう側にある、富山地方鉄道の路面電車と相互乗り入れする計画もあるという。
JR富山港線を富山ライトレールにしたときに変えたところは、この新設区間と、電車と、各駅の構造だった。電車は2両ひと組の最新型で、ヨーロッパの路面電車を思わせる姿。床が低く、低いホームとの段差をなくしたから、足の不自由なお年寄りや車椅子のお客さんも簡単に乗り降りできる。私のような、太ったお腹のせいでつま先が見えない人もつまずきにくい(笑)。いやこれは冗談ではなく、この設計は誰にでも乗り降りしやすい構造である。最近は「バリアフリー」よりも、「ユニバーサルデザイン」という言葉を聞くようになった。
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