GDPへの反応は鈍く、相変わらず方向感なく小動き清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年11月16日 16時15分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 7−9月期のGDP(国内総生産)が予想を大きく上回ったことから買い先行となりました。先週末の米国市場が堅調となったこともヘッジ売りの買戻しなどを誘ったものと思われます。ただ、寄り付きの買いが一巡した後は底堅いながらも持高調整の売りに押される状況は先週までと変わらず、相変わらず買い気の乏しい中で軟調となる場面もありました。依然として政策の先行きも見えず、方向感のない展開が続いています。

 先週の機械受注、鉱工業生産に続きGDPへの反応も限られたものになりました。本日も後場から堅調となる場面では「GLOBEX(24時間取引市場)の米国株価指数が堅調だから」「アジア市場が高いから」などというコメントも見られましたが、どうして素直に「予想を大きく上回ったGDPを見直す動き」とか「売り一巡感からGDPの上振れを好感して」などという表現にならないのでしょうか?このように、インターネットなどを通じて情報が過多になると余計な気を回すことが多くなって、大きな「勘違い」で右往左往していることが多いような気がします。

 基本的に株価は業績が良くなれば上がる、つまりその企業が「儲かるかどうか」が問題となるはずです。ですから、本来は「GLOBEXが高い」ということは米国市場で活躍している株が高いと高くなるはずであり、アジア市場が高いということはアジアの景気が良くなるのであればアジア市場を中心に展開して利益を上げている企業が買われるのではないでしょうか。コマツ(6301)などはアジアのインフラ整備が進むと建機が売れて、「儲かる」ことになりますし、スズキ(7269)などはインドでの自動車販売が好調で収益上振れが期待されています。ですから、アジア市場が好調であれば、これらの会社などが堅調となってもいいのです。

 新聞で報じられれば、あるいは「アナリスト」がコメントすれば「正しい」と言うことでもなく、実際に市場で何が起きているのかを見ることが大切ではないかと思います。為替や金利に全体的に株価が振らされるということなどは分かるのですが、もっともらしく言われていても全く的外れの情報などを無理に結びつけるようなことが多く、情報の取捨選択には大いに気を使うべきだと思います。情報を取るだけ取って満足するのではなく、そして柔軟性を持って情報を取捨選択することも必要なのだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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