「ドバイ・ショック」を受けて大幅下落となるも底堅さも見られる清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年11月30日 08時57分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10309.92▼154.48

<NASDAQ>2138.44▼37.61

<為替:NY終値>86.54-86.6

「ドバイ・ショック」を受けて大幅下落となるも底堅さも見られる

 感謝祭明けの週末、短縮取引となったことで、「ドバイ・ショック」がどこまで反応できたのかは疑問ですが、取りあえずは大幅下落とはなったもののパニック的な売りも少なく、底堅い展開となりました。為替もドルが大きく売られることもなく落ち着いており、景気回復トレンドに変更はないと見ても良いと思います。商品市況などが軟調となりましたが、信用収縮からの見切り売りということでもなく、あくまでもまだ利益確定売りという見方が強いということでしょう。

 「ドバイ・ショック」への影響が限定的となるかどうかまだ週明けの市場を見ないと分かりませんが、少なくとも昨年10月の暴落のような雰囲気ではないようです。ある程度損失額が見えることが安心感に繋がっているものと思われます。これが世界的に広がりを見せることはなさそうだとの見方も安心感につながっているのでしょう。引き続き「ドル安メリット」を好感するような動きもあり、深刻な問題とはなりそうもありません。それよりも今後のクリスマス商戦の行方が気になるということではないでしょうか。

 個別にはバークレイズやHSBCホールディングスなど欧州金融機関のADR(米預託証券)が大幅下落、連れてバンク・オブ・アメリカやシティグループ、JPモルガン・チェースといった金融株は軟調となりました。アルコアなどの素材株、シェブロン、エクソンモービルといった石油株も軟調となるなどほぼ全面安と言った状況で、景気敏感銘柄のキャタピラーやハイテク銘柄のインテル、IBM、ディフェンシブ銘柄のメルクやプロクター・アンド・ギャンブル、コカ・コーラや小売りのウォルマートやホーム・デポなども軟調となり、ダウ平均採用銘柄は全て安くなりました。

本日の相場

日経平均

 先週末の日本市場はドバイの資金繰りの問題から欧州市場が大幅下落となったことや円高を嫌気して売り先行となり、いったんは底堅さも見られたのですが、円高にもデフレにも、ドバイの問題でも政府、金融当局の施策も見えず、対策も示されないことなどを嫌気して売り直されて大幅下落となりました。最後は週末の米国市場の下落などを懸念してヘッジ売りや見切り売りもかさんだものと思います。

 週末の米国市場は大幅下落とはなったものの、底堅さも見られ、為替も少しは落ち着いて来たことから週明けの日本市場も底堅い堅調な展開が期待されます。ようやく政府も経済対策に言及を始めましたが、早めに具体策が見えてこないと失望感から売り直されてしまうでしょう。とりあえずは、何らかの対策が打たれるとの期待が強まるものと思われ、環境関連銘柄などが物色されることになるのかもしれません。ただ、まだ英国の銀行が「ドバイ信用不安」で巨額の損失となったとも伝えられており、昨年と同様に信用収縮の動きが出るとファンド筋の手仕舞い売りに押されてしまうかもしれません。

 日経平均は7月安値水準、9000円の水準を意識するところで下げ渋りましたが、しっかりと下値の節目として確認できるかどうかが注目されます。騰落レシオなどを見ても売られ過ぎ感が強いことやシカゴ市場(CME)の日経平均先物が高いことから底堅い堅調な展開も期待され、週明けの市場でしっかりと戻るようであれば、9000円水準の底堅さが確認されることになるのでしょう。為替が円高に振れると7月安値を下回る場面もあるのかもしれませんが、その場合でも「達成感」から底堅い展開となるのではないかと思います。

本日の注目点

◇白川日銀総裁が講演(名古屋市)

◇10月の鉱工業生産指数速報(経産省)

◇10月の毎月勤労統計調査(厚労省)

◇10月の住宅着工統計(国交省)

◇11月のユーロ圏インフレ率

◇7−9月期のインドGDP

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