21世紀の乗馬体験!? 走るロボット、ホンダ「U3-X」に乗ってみた神尾寿の時事日想・特別編(2/3 ページ)

» 2009年12月02日 08時00分 公開
[神尾寿,Business Media 誠]

自在に操れる操縦感覚。意外と身体も使う?

 では、いよいよ試乗をしてみよう。

 U3-Xは駆動輪が一輪しかないので、初めて乗り込む時にやや勇気がいるが、開発者によると「おっかなびっくり乗るより、椅子にしっかりと座った方が安定する」とのこと。実際、その通りにすると、自然とU3-X側が小刻みに動いてバランスを取ってくれる。この時に姿勢を正して、重心を定めるのがポイントだ。

 先述の通り、U3-Xの移動は「重心移動」で行う。これはセグウェイと同じであるが、U3-Xの場合はハンドルやステップがないので、慣れないとちょっと難しい。「初心者は動きたい方向に手を伸ばすと重心移動しやすい」(開発者)とのこと。筆者はセグウェイなど、この手の重心移動コントロール系の乗り物に何度か乗っていたのですぐにコツがつかめたが、試乗会の様子を見ていると、まったく初めて乗る人でも数分も走ればコツをつかみ、手を使わずにスイスイと走れるようになっていた。U3-Xはめったなことでは転倒しないということなので、「倒れるのではないか?」という恐怖心さえなくしてしまえば、後の操縦はとても簡単である。

 実際の走り心地はどうかというと、言葉で表すのは少々難しい。重心移動した方向にスゥーーと動き出す感じは雲に乗っているようであり、これまでの乗り物とは一線を画すものだ。慣れるとバックや8の字走行も自由自在にできる。予想外だったのは腹筋を始め、腰や太もも周りの筋肉を結構使うこと。自動バランス制御で倒れることはないのだが、走行には「正しい姿勢」と「的確な重心移動」が必要になり、これにインナーマッスルを使っている感じなのだ。乗馬ではないが、U3-Xで複雑な走行をしたら、ウエストやヒップ周りのエクササイズになりそうだ。最近、体型がだらしなくなってきた筆者は、これだけでU3-Xが欲しくなってしまった。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.