銀行の資本規制延期や円安を好感して買われ堅調清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年12月16日 17時15分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国市場は軟調でしたが為替が円安になったことや銀行の資本規制が延期されるとの報道で金融不安が薄れ、資金の回転が聞いて実質金融緩和の効果が期待されるものとして銀行株を中心に買われて堅調となりました。ここのところ円高にもかかわらずハイテク銘柄や自動車株などの輸出株が堅調となっていたこともあり、利益確定売りに押されて上値の重い展開となりなりましたが、増資懸念に見られるように銀行の資本規制が相場のネックとなっていた部分もあり、素直に好感されたものと思います。

 どこまで実現できるのかはわかりませんが、銀行の資本規制延期を好感して、久しぶりに活況な相場となりました。資本規制が銀行の増資懸念の要因となっていたことはもちろん、銀行の貸し出しのネックとなっていた部分もあり、規制延期は好感されるのでしょう。「需給ギャップ」が解消されないと本格的な景気の回復、雇用や個人消費の回復まではなかなか見えてこないのかもしれませんが、少なくとも一つの「ネック」が解消された(わけでもないのですが)と見てもいいものと思います。

 今回の不況も「信用不安」と言うことが一番なのですが、突き詰めてみると結局は「デフレ」に行き着くと思います。デフレの流れが続き、資金が投機的なところに流れて、その「バブル」が弾けたことが一番なのだと思います。液晶テレビの価格や半導体の価格の下落に見られるように、世界的に原油価格や穀物などの商品市況の上昇とテレビや衣料品の価格下落という矛盾する状況が今回の不況の一番の原因でしょう。

 日本でもアメリカでもそして中国でも「安いものを買う」と言う事が、自分の職を奪い、給料を減らし、自宅の時価を下落させるという連鎖に気がつかなかったことがそもそもの不況の始まりなのだと思います。もっともっと「身の丈にあった消費」を皆が心がけ、売る方も売る方で身を削って販売数量を増やすのはなく、「コスト+利益」と言う観点での値付けから販売すれば案外景気も良くなって来るのではないかと思います。そうした観点からは来年初めから値上げを表明している、ブリヂストン(5108)や東洋ゴム(5105)などは注目されます。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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