信用不安が強まり金融株や素材株を中心に売られて大幅安清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年12月18日 08時22分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10308.26▼132.86

<NASDAQ>2180.05▼26.86

<為替:NY終値>89.96-90.02

信用不安が強まり金融株や素材株を中心に売られて大幅安

 欧州での信用不安が懸念されたことに加え、大手銀行の増資を嫌気する動きや金融株に対する投資判断の引き下げもあり、売り先行で始まり大幅安となりました。加えて、信用収縮からの「キャリートレード」の手仕舞いや相対的な安心感もあってドルや円に資金が向かい、商品市況も軟調となったことで素材株などが売られて大幅下落となりました。「キャリートレード」の手仕舞いが大きな売り要因ではないかと思われますが、景気指数が予想を上回るなど足元の業績面からの不安はなく、底堅さも見られるものと思います。

 指数は大きな下落となりましたが、多分に目先的な需給要因による部分もあったものと思われます。ただ、欧州でのリスク収縮、リスク許容度の低下は見られるようで、早めの金融対策などが見られないと広がりを見せる可能性もありそうです。ただ、米国内での景気はこれまでのドル安の効果もあり、また、出口戦略が取り沙汰されるほど景気の回復も鮮明になっており、新興国などに信用収縮の動きが広がらなければ、底堅さも見られるものと思います。

 個別には増資発表が嫌気されてシティグループが大幅下落、欧州の信用不安や投資判断の引き下げもあって、JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカやゴールドマン・サックスなど金融株が軒並み軟調、金先物など商品市況の下落を受けてニューモント・マイニングなどの金鉱株やアルコア、デュポン、といった素材株、エクソン・モービルやシェブロンと言った石油株も売られました。ドル高となったことで、マイクロソフトやインテル、IBMなどハイテク銘柄も軒並み軟調となり、ダウ平均採用銘柄の中ではGE(ゼネラル・エレクトリック)とベライゾン・コミュニケーションズが堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は円安や米国景気の回復を好感して買い先行となりましたが、節目と見られる日経平均の10200円台半ばを抜け切れず、上値の重さを嫌気する売りに押されて最後は軟調となりました。政策の先行きが相変わらずはっきりとしないことから、円安などの好材料に素直に乗り切れないものと思います。前日に大幅高となった銀行株なども早くも利益確定売りに押されて指数を下押す要因となり、買い気の乏しさを物語っていました。

 米国市場が大幅下落となったことで、日本市場も軟調な展開が予想されますが、米国での下落の要因がそのまま日本株の下落要因となるものでもなく、若干ドル高=円安となっていることとユーロ安=円高とをにらみながら新興国関連の輸出株などには買いも入るのではないかと思います。銀行株も昨日の反落で米国での金融株安を織り込んでいる可能性もあり、週末と言う事でもあり、買戻しが入れば底堅さも見られるものと思います。ただ、欧州での金融不安が気になって積極的な買いは期待出来ず底堅さは見られても上値も重いのでしょう。

 日経平均は下値を試す動きとなっても10100円を割り込むところでは10000円を意識して底堅さも見られるのではないかと思います。米国下落の要因も日本市場に大きな影響がある要因でもなく、底堅さは見られるものと思います。対米ドルだけで見れば円安を好感する動きとなりそうですがユーロが安く、信用収縮懸念もあることから、素直には買い難いものと思います。買戻しを急ぐ動きがあっても日経平均の10200円水準やTOPIXの900を超えるところでは手仕舞い売りや戻り売りに押されるものと思います。

本日の注目点

◇11月の全国百貨店売上高(日本百貨店協会)

◇白川日銀総裁会見

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