プロになる目安は1万時間(1/3 ページ)

» 2010年01月13日 08時00分 公開
[竹林篤実,INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!

著者プロフィール:竹林篤実(たけばやし・あつみ)

東大寺学園高校卒業、京都大学文学部卒業。印刷会社営業職、デザイン事務所ディレクター、広告代理店プランナーなどを経て、2004年にコミュニケーション研究所の代表。ブログ:「だから問題はコミュニケーションにあるんだよ


宮本武蔵『五輪書』

 「千日をもって鍛とし、万日をもって錬とす」

 『五輪書』に記された宮本武蔵の言葉である。剣の道を究めるためには万日、つまり約30年の歳月をかけて打ち込むことが必要というわけだ。これに習い、吉川英治の書いた『宮本武蔵』を座右の書とした極真空手創始者の故・大山倍達は、「千日をもって極とし、万日をもって真とする」という言葉を作った。

 空手の道も同じく、毎日ひたすら稽古を重ねて30年続けることができれば、その真を極めることができるのだろう。何かを修業して達人と言われるレベルに達しようと思えば、それなりに人生をその道にかけなければならないという経験知が、この言葉には示されている。

ビートルズは1万時間

 一方で最近、興味深い説をネット上で見つけた。「あなたも『天才』になれる? 10000時間積み上げの法則』では、1万時間が1つのマイルストーンになるというのだ。例えば、ビートルズである。ジョン、ポール、ジョージと最初のドラマーであるスチュアート・サトクリフがリバプールでグループを結成し、弱小バンドとして過ごした時間が1万時間なのだという。

「ザ・ビートルズ」日本オフィシャルサイト

 ジョンとポールが出会ったのが、確かポール15歳のときのはず。シングルデビューしたのが、その5年後である。だから5年間で1万時間演奏した計算になる。ということは1年間で2000時間、毎日やったとして、1日当たりだいたい5時間強。ロックンロールが好きで好きでたまらず、プレイしているのがひたすら楽しければこれくらいは楽勝だろう。

 もっとも1万時間やれば、誰もがビートルズになれるわけではない。1万時間はブレイクするために必要な下積み時間の目安であり、そこから突き抜けることができるかどうかは「偶然のタイミング」によるらしい。1万時間かけて一生懸命やってきたことが、自分の才能にあったことなのかどうかが第一。さらには時代の波といった神のみぞ知る要因が左右する部分も大きいということだ。

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