米国など海外市場が大幅下落になったにもかかわらず持高調整の買いが入り大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年01月21日 15時58分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国市場など海外市場が大幅下落となる中で大幅高となりました。日本株が出遅れているなどという理由がなされていましたが、「円キャリー取引」(円で資金調達をして投資をする取引)としての「ロング-ショート(売り買い両方を行い、その差を取る戦略)」の持高調整が行われたのではないかと思われます。それでなくても、JAL(9205)が日経平均採用銘柄から外れ、JR東海(9022)が明日から参入されるということで波乱要因があるところで「妙な」動きとなっています。

 同じ業種でも高安まちまちとなるものも見られ、持高調整が行われているのではないかと思います。ハイテク銘柄が買われて指数を押し上げた面もありますが、同じ業種、同じ日経平均採用銘柄でも高安まちまちとなったところを見ると一方の銘柄を買い(戻し)、一方の銘柄を売ってその間の「差」を取るようなポジションを作っているのか、あるいは解消しているような動きなのではないかと思います。

 市場で「何が起こっているのか」正確に把握することが大切と言うことを何度も言っていますが、中国市場が高いからある程度安心して買えるということもあるのでしょうし、円安に振れたからハイテク銘柄などが買い易いということもあるのでしょうが、業種内での売り買いと業種ごとの売り買いを組み合わせているという見方もできるのではないかと思います。ここ何年かこうした売り買いの動きが時々見られ、相場の転機となっていることも多いのです。昨年の3月の安値を付けたときもそうした動きはありましたし、何度かこうした動きが見られるので今後の動きには十分注意しておいた方が良いと思います。

 個別の材料というよりは、中国云々と言うよりは目先的な持高調整という需給関係だけでの動きなので、この動きがまだ続くのか、今日で終わりなのかで今後の相場の方向も変わって来るものと思います。明日は週末ということに加え、一銘柄とは言え225銘柄に加わることで、波乱含みとなりそうです。腰の据わった買い手、新しい買い手が現れたわけでもなさそうで、相場の大きな流れとしては何ら変わりはないものと思います。指数の動きに惑わされずに、持高調整が終わった後の物色の方向をしっかりと見極めることが大切ではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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