“つぶやいて”はいけない……日本の公職選挙法ってヘン上杉隆×小林弘人「ここまでしゃべっていいですか」(8)(2/3 ページ)

» 2010年02月01日 11時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
ジャーナリストの上杉隆氏

上杉 インターネット上で波及効果があった背景に、こんなことがありました。2009年9月16日に首相官邸に行って、記者会見に参加しようと思っていました。実はその前に鳩山首相に「上杉さん、どうぞお越しください」と言ってくれていたのに、記者会見に入れず、官邸から追い出されてしまった。その様子は録画されていて、YouTubeに流れました。それを見た海外メディアやインターネット媒体が、私に取材を申し込んできました。しかし新聞やテレビは一切報じませんでしたね。

 これまでであれば新聞やテレビが報じなければ、ほとんどの人は問題を“知らされず”に終わってしまった。ところがYouTubeで映像を見た多くのユーザーが、首相官邸宛に電凸(抗議の電話を行うこと)を行ったようです。そして官邸の担当者から「大変なことになっています!」といった連絡がありました。こうした動きはインターネットがなければ、絶対にない。

小林 僕が民主党の記者クラブ開放宣言問題について知ったのはTwitter。実は、この問題はTwitterでものすごく流れていましたよ。上杉さんはTwitterをお使いですか?

上杉 米国の一昨年の大統領選の前にTwitterのアカウントを作りましたが、その後はほったらかし。なぜTwitterを始めたかというと、オバマ陣営がTwitterで日程を出していたから※。

※現在はTwitterを始めている。http://twitter.com/uesugitakashi

小林 いま、日本でのユーザーは増えていて、300万人以上といわれています(2009年12月時点)。忙しくてつぶやけていないときも、毎日のようにフォロー数が増えていっています。講演などを行うとき、そこでたくさんの“つぶやき”が行われます。iPhoneとかでtsudaっている(Twitterで同時中継する意)人が増えている(笑)。

 いま、ローカルニュースの一報はTwitterがもっとも早いですね。例えば丸の内でビルの窓ガラス片が落ちるという事件がありましたが、落ちた瞬間にTwitterユーザーたちがつぶやいていきました。そして夜、家に帰ったら、そのことをテレビで報道していました。

上杉 Twitterにそれだけの速報性があれば、メディアは「Twitterのつぶやきによると……」と報じないと。

小林 ハハハ。裏取りが大変ですね。

上杉 米国の選挙ではTwitterやYouTubeをかなり利用している。その一方、日本でインターネット選挙はまだまだ普及していないし、テレビ局にいたってはまだ「YouTube」と言ってはいけない。

 2000年の大統領選挙でインターネット選挙がスタートし、2004年にはブログ選挙、そして2008年にはTwitter。4年後にはまた新しいトレンドが出てくるんでしょうね。

小林 そうでしょうね。前の選挙はブログ選挙だった。使えるモノは何でも使おうとするから、次は何選挙になるのか。

上杉 ところが日本では公職選挙法の規定により選挙中にWebサイトを更新してはいけない。

小林 つぶやいてもいけないんですよ(笑)。

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