東京で集めた税金は誰のモノか坂村宗彦の地方財政から格差を見る(2/3 ページ)

» 2010年02月02日 08時00分 公開
[坂村宗彦,Business Media 誠]

東京都で徴収した税金の行方は

 もう少し詳しく、東京都内から徴収される税金の中身を見てみましょう。まず、東京都庁が管轄する都税は、2007年度の決算見込みで5兆5000億円です。このうち法人事業税・法人都民税が2兆6000億円、固定資産税と都市計画税が1兆2000億円、個人都民税が7800億円、その他が9000億円となっています。さらに、たばこ税や地方消費税などのほか、23区には区民税もあります。これは非常にざっくりとした金額ですが、区税収入は23区全体で少なくとも1兆円強※はあるだろうと思います。

東京都財政調整制度に記載された23区の基準財政需要額9848億円(2007年)から推定。

 東京都と23区に収められる税額に東京国税局の国税収入を足すと、20兆円+5兆5000億円+1兆円=26兆5000億円となります。そして、国税から国が集めて都道府県・区市町村に配分する地方消費税(消費税5%のうち4%が国税、残り1%が地方消費税)を約5000億円(東京国税局全体で約1兆円)として、これを除くと26兆円(都税収入に入っているため)。さらに、ここに23区以外の市町村の税収が加わります(根拠が薄いですが、市町村税収は1兆円と仮定します)。ここまでの結果、2007年度には東京都内で約27兆円の税収があったと計算できます。

 しかし、東京都と23区および市町村で使えるお金は、「5兆5000億円(都税)+1兆円(区税収入)+1兆円(23区以外の市町村の税収)=7兆5000億円」です。つまり、東京都内で徴収した税金のうち都内の自治体で使えるお金の比率は「7兆5000億円÷27兆円=27.8%」という結果となります。つまり7割以上は国の政策と地方交付税特別会計に回っているということです(もっとも国の政策の中でも東京都内で行われるものについては国税が充当されるものもあります)。

東京都内から徴収された税想定額とその使途

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