欧州金融不安が薄れ、景気回復期待から「出口戦略」も織り込まれて大幅高清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年02月12日 08時30分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10144.19△105.81

<NASDAQ>2177.41△29.54

<為替:NY終値>89.72-89.78

欧州金融不安が薄れ、景気回復期待から「出口戦略」も織り込まれて大幅高

 朝方発表された新規失業保険申請件数は予想を上回る減少となり、雇用の改善を好感する動きも見られ、EU(欧州連合)がギリシャ政府の財政再建を支援すると伝わっても当初の反応は鈍く、軟調な始まりとなりました。ただ、その後信用収縮懸念が薄らいだことで、原油などの商品市況が上昇、引きずられるように株式市場にも買いが入り大幅高となりました。また、前日にはバーナンキFRB(連邦準備理事会)議長の声明が伝えられて「出口戦略」を取り沙汰して売られた景気敏感銘柄にも買いが入り大幅高となりました。

 景気回復を織り込み、「出口戦略」も織り込み始めたようです。長期金利などの上昇、公定歩合の引き上げが示唆される中で商品市況や株式市場が堅調となるところ、特に景気敏感銘柄が堅調となる動きなどを見るといよいよ「出口戦略」を織り込み、「業績相場」への移行が示され始めたということなのでしょう。欧州での金融不安は薄れたもののまだ金融規制に対する懸念は残っており、業績回復を織り込む動きとのせめぎ合いで戻りも鈍いのかもしれませんが、センチメントは再び上向きかけているようです。

 個別には商品市況の上昇を受けてアルコアやスリーエムなどの素材株が堅調、業績回復を織り込む相場となりつつあることからキャタピラーやボーイング、GE(ゼネラル・エレクトリック)などの景気敏感銘柄も大幅高となるものが見られるなど総じて堅調となりました。世界的な景気回復を織り込むようにインテルやヒューレット・パッカードなどのハイテク銘柄も堅調、雇用改善から個人消費の回復に期待する動きもあってホーム・デポも高くなりました。

本日の相場

日経平均

 休日前の日本市場は米国株高や円安を受けて買い先行で始まり、一時大幅高となったのですが、さすがにオプションSQ(特別清算指数)算出を控えていることもあり、手仕舞い売りも多く最後は上げ幅を縮小、堅調ながらも上値の重い展開となりました。欧米での懸念材料もあり、最後まで買い切れないということのようでした。

 米国市場が大幅高となったことから日本市場も堅調な展開となりそうです。為替も比較的落ち着いた展開となり、さらなる円高懸念も薄れているのではないかと思われます。決算発表が出揃ってくる中で業績回復を織り込みかねている銘柄も多く、上方修正をしながら売られてしまったような銘柄の反発や商品市況の下落などの影響で売られていた商社株などの反発も期待されます。中国での金融引き締め懸念も一段落となっており、新興国関連銘柄も反発が期待されます。

 日経平均は引き続き10000円台を回復するのかどうかを試す動きとなりそうです。オプションSQ(特別清算指数)算出の影響も大きなものとは思えず、米国株高を受けて10000円台には乗せてくるものと思われます。週末、連休の谷間ということで積極的な売り買いも手控えられそうで、ヘッジ売りの買戻しも限定されるものと思われ、節目と見られる10100円台半ばまでの戻りは期待されるものの、その水準まで戻れば一旦、上値も押さえられそうです。逆に、10000円を超えないような展開になると、ヘッジ売りなどが嵩んで軟調となってしまいそうです。

本日の注目点

◇1月の消費動向調査(内閣府)

◇10−12月のユーロ圏GDP速報

◇12月のインド鉱工業生産指数

◇決算・12月期:山崎製パン(2212)、サッポロHD(2501)、昭和シェル石油(5002)、住友ゴム工業(5110)、ヤマハ発動機(7272)

◇決算・4−12月期:西松建設(1820)、日本ハム(2282)、大陽日酸(4091)

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