海のチカラで体も心も癒やされる――タラソテラピーを体験してみた郷好文の“うふふ”マーケティング(3/3 ページ)

» 2010年02月18日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]
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午後の至福

 “エアロゾル”は海水をミスト(霧状)に充満させた暗室での気候療法。ミストが気管支を浄化してくれて、鼻やのどにいい。青白い空間に横たわり、この世とあの世をさまよい、気を失ったかのよう。あっという間の30分で、立ち上がると不思議な浮遊感。鼻炎も引っ込むわけだ。

 次の“ピシーナ リラクゼーション”はフロート(浮き具)を使う海上無重力体験。 泳ぎ下手な私、本当に浮いていられるか不安だったが、セラピストTさんに言われるまま、浮き具を首の後ろに当てて、両足をプールサイドのレールに乗せると……あ、浮くじゃない!

 耳まで海水につかり、顔の上部のみ水面に出す。外の音が水中で遮断され、ボワンと聴こえる。海中感覚とでもいうのだろうか。やがて足がプールサイドから離されると「ああ、沈む!」と焦ったが、ちゃんと足の下にフロートを入れてくれて「浮かんだぁ」と一安心。浮き具を押されて、回されるのがキモチいい。

 「寝ちゃってもいいです」とはTさん。約20分後、海中世界から帰還したが、本音を言うと帰りたくなかった。

ピシーナ リラクゼーション(出典:テルムマラン・パシフィーク)

テルムマランに行くために働く

 終了時刻に「ふう〜っ」とロビーに出ると、そこにいたのはニコやかに笑うセラピストFさん。基礎化粧品やトリートメントアイテムを販売するショップで、売り子をしていた。先ほどの「ハハン」の正体はマルチタスク。セラピストは体のセラピーだけではなく、食事や販売までマルチなサービスを通して、お客さまの体の体験と心の体験を一貫してサポートするのだ。専業の売り子ではないので、どのセラピストも「売らんかな」とギラギラしていない。テルムマランのおもてなしの秘密をかいまみた。

 欧米ではスポーツ選手や芸術家にも愛されるというタラソテラピー。ココロとカラダのぜい沢な時間がゆったり流れ、海の力で生まれ変われるからだ。私は、「これからの人生、数カ月に1度、ここに来るためにせっせと働こう」と誓った。現に次の予約チケットは、もう手元にある。

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