著者プロフィール:郷 好文
マーケティング・リサーチ、新規事業の開発、海外駐在を経て、1999年〜2008年までコンサルティングファームにてマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略など多数のプロジェクトに参画。2009年9月、株式会社ことばを設立。12月、異能のコンサルティング集団アンサー・コンサルティングLLPの設立とともに参画。コンサルタント・エッセイストの仕事に加えて、クリエイター支援・創作品販売の「utte(うって)」事業、ギャラリー&スペース「アートマルシェ神田」の運営に携わる。著書に『顧客視点の成長シナリオ』(ファーストプレス)など、印刷業界誌『プリバリ[印]』で「マーケティング価値校」を連載中。中小企業診断士。ブログ「cotobike」
社団法人日本雑誌協会主催の“雑誌デジタル配信”の実証実験「parara(α)」に参加した。同協会に所属する講談社や小学館など58出版社、91誌のバックナンバーを2010年2月1日から月末までデジタル配信して、モニター読者から意見を抽出するというものだ。
Scribd、Kindle、Appleなど電子出版の“黒船群”への、業界を挙げての電子化対策とも言える。「感想は公知にしない」という条件で参加したので詳しく紹介できないのだが、ひとことだけ。「雑誌を電子で読むのは違和感あり」。電子雑誌と紙雑誌、何がどう違うのか? 雑誌の魅力とはどんなものなのだろうか?
電子化の背景にあるのは「雑誌が読まれない、売れないこと」。統計を見るまでもなく、電車の中でも雑誌を読む人はずいぶん減った。書店の雑誌コーナーは空いているし、自分も雑誌を買う機会が減った。情報はネットで十分、少子高齢化で読者層も変化し、今や返本率は50%に達する。
だからといって電子化が紙雑誌の救世主なのだろうか?
ネットがらみの雑誌サービスはいろいろある。「MAGASTORE」はiPhoneや携帯端末で読む電子雑誌サービス。「雑誌オンライン」はネットでパラパラして印刷物を注文する。「富士山マガジンサービス」は印刷雑誌の定期購読の受注サイト。電子・紙いろいろだが、まだ大ブレイクしているものがあるとは聞かない。まして出版社主体の電子雑誌サイトは失敗の山だ。
ブラウザ(拾い読み)と言うくらいだから、パラパラ読みの雑誌にネットはぴったりのはずなのに、どうしたものかマウスオーバーしてのパラパラがぐっとこない。経済誌や学術誌など情報収集ならいい。かさばらないし保存できるし検索も便利。印刷だってリアルな雑誌にはかなわないが自分でできる。でも……なぜか読みたいという気にならない。iPadやKindleならくつろげるのだろうか? 慣れの問題なのだろうか?
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