母国語へ訳し、文法を学ぶ勉強法は学習速度を遅くする――米Rosetta Stone CEOインタビュー(2/3 ページ)

» 2010年04月02日 08時00分 公開
[Business Media 誠]

各国の語学学習マーケットの状況は

トム・アダムスCEO。スウェーデン語、英語、フランス語を操り、スペイン語もビジネスレベルで、基礎レベルの中国語も話す。現在はロシア語を学習中とのこと

――各国のマーケットの状況はどのようになっていますか?

トム 2007年に日本で行った調査では、「日本人は米国人の2倍以上のお金を費やして語学学習している」という結果が出ました。また、最近になって米国でも調査したところ、語学学習に投資をする人が2007年から2009年の間に約60万人増加していることが分かりました。

 米国でこのように語学学習者が増加している背景には、これまでのようにクラスルームで学習する方式に加えて、テクノロジーを使って学習する方式が登場してきていることがあります。また、新しい言語を学んでグローバルで活躍したいというように、キャリアアップ目的での語学学習への投資が増えているのは、中国などどこの国でも言えることだと思います。

――各国でどのような言語が人気なのですか?

トム 日本では売り上げの70%を米国英語が占めており、2番目に多いのは中国語です。米国ではスペイン語、英国ではフランス語が人気ですね。Rosetta Stoneでは31言語を学べるのですが、日本語は米国でトップ8に入るくらいの人気があります。

 言語学習をする動機は3つあります。1つ目はグローバルな共通語として英語を学ぶということ、2つ目は隣国の言語を学ぶということ、3つ目は「経済成長している中国関連でチャンスを得たい」といったように、ビジネス的な機会を求めて学ぶということですね。

――日本に住んでいると、日本人が語学学習で悩んでいる姿をよく見るのですが、外国でも語学に対するコンプレックスを持っている人は多いのでしょうか?

トム 驚かれるかもしれませんが、日本だけではなく、フランスやスペイン、イタリア、ギリシャ、ブラジルなどでも、母国語に訳したり、文法を学んだりという勉強法は今でも行われているんですね。それを考えると、語学学習で悩んでいるのは、日本人以外も同じです。みなさん語学を勉強しながら、「何かおかしいな」「ひょっとして、自分に原因があるんじゃないか」と感じているのですが、それは間違っています。先ほど申し上げたように、メソッドが間違っているんです。

 歴史的なお話をすると、こうしたグラマー・トランスレーション・メソッド(文法訳読法)というのは、もともと古典語であるラテン語を勉強するために開発されたメソッドです。ですので、現代の外国語学習にはまったく適していないんですよね。

――メソッドの誤りに気付けば、Rosetta Stoneの商品を模倣することは、それほど参入障壁が高いように思えないのですが。

トム おっしゃるとおり、Rosetta Stoneの商品は簡単に作られているように見えます。しかし、例えば米AppleのiPhoneなどの製品のように、簡単に作られているようには見えても、やはり他社が追いつけないような壁があると思います。シンプルに見えても、その裏には私たちの苦肉の策が詰まっていて、その部分に関してはなかなか真似できないと考えています。

 現在提供している語学学習用ソフト「Rosetta Stone Version 3」は、核となる部分については2004年から4年間をかけて開発していて、新しい言語を追加する場合には6カ月くらいの期間をかけています。

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