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» 2010年04月22日 12時15分 公開

交通事故を起こさないために、何をすればいいのか (2/2)

[Business Media 誠]
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交通事故が起きる原因

 交通事故というのは、何が原因で起きるのだろうか。また年齢を重ねることによって、なぜ事故を起こす危険性が増すのだろうか。交通事故に詳しい、早稲田大学人間科学学術院の石田敏郎教授に話をうかがった。

石田敏郎教授

――クルマを運転するときに注意すべきことは何でしょうか?

石田 事故の原因は脇見などの認知遅れが多い。また認知したものの、先行車との距離やスピードを誤った知覚判断によるエラーも多い。米国の事故調査でも「認知エラーが事故の人的要因の大半」という結果が出ている。

 一般的に高齢者は考え事をしていての事故が目立つ。逆に若い人は脇見運転が多い。人間なので「考え事をするな」「脇見をするな」と注意しても、運転だけに集中させるのは無理かもしれないが、考え事や脇見をしない努力は常にしなければならない。

――車間距離はどのくらいとっておけばいいのでしょうか?

石田 クルマを運転しているドライバーが「危ない」と感じて、ブレーキを踏むまでの時間は0.7秒。その間もクルマは走行しているわけだが、もし20キロのスピードが出ていれば5.8メートル、30キロで10.1メートル進むことになる(路面の摩擦係数を0.7とした場合)。

 また車間距離が50メートルあっても、先行車が40〜45メートルに近づかなければ車間距離が縮まったと認知することは難しい。ドライバーは十分な車間距離を取っているつもりでいても、気付いたときには先行車が近くを走っているときがある。ちなみに反応時間は24歳くらいをピークに遅くなり、個人差はあるものの視力も低下するので注意が必要だ。

――法律で取り締まっていますが、まだまだ運転中にドライバーが携帯電話を使用していることが多いですね。

石田 運転をしているドライバーが携帯電話を使用するのは本当に危ない。運転中というのは前を見るのが基本だが、それだけではダメ。前、横、後を見なければいけないが、携帯電話を使うと前しか見ないという人が多い。携帯電話で通話をしていると、考え事をしてしまう。その間、人間の情報処理が遅れてしまうので、注意がおろそかになる。どうしても携帯電話を使用しなければいけないときには、できるだけ広い道で安全を確認した上でハンズフリーを使用すべきだ。

 ちなみにタクシーは無線を使っているが、無線でしゃべりながら事故を起こすケースは少ない。なぜなら無線がある場所は決まっているし、通話内容も単純なものが多いから。しかし携帯電話の場合、車内で電話が鳴り、それを探しているときに事故を起こす危険性がある。また複雑な会話をすることが多く、運転に集中できなくなるケースもある。

 もちろん携帯電話が悪いというわけではない。例えば事故現場からの電話は、いまはほとんどが携帯電話から。「携帯電話が普及したので、交通事故による死亡者数が減少した」と指摘する人もいるほど。

――カーナビ操作中にヒヤリとした経験があるドライバーも多い、と聞いています。

石田 ドライバーの目の前にはハンドルがあって、メーター類がたくさんある。さらにカーナビがある。カーナビの場合、画面を注視すれば道路交通法に違反する。注視とは2秒以上じっと見ている状態のことで、各メーカーは「2秒以上見なくてもいい」ように設計している。しかし何度も難しい操作をしなければいけなかったり、音楽を聞くのも小さい文字を見ながら選曲しなければいけない。カーナビの開発者は、もっと単純に使えるように工夫しなければいけないだろう。

――クルマメーカーは安全性を高めるために、いろいろな機能を追加しています。このことについて、どのように思われますか?

石田 渋滞中はイライラするドライバーが多いので、強制ブレーキは役立つのではないだろうか。機械で解決できることは機械で解決したほうがいい。しかし便利な機能が加わると、人間はどんどん依存心が強くなってくる。眠くなればクルマを止めて、「パーキングエリアで仮眠をとろうか」と考えるのが普通。だが、クルマが自動的に止まる機能が付いていることで「眠くても大丈夫」と考えるのはとても危険だ。仮に追突はしなくても、そのほかの事故を起こす危険性が高くなるだろう。

 こうした事故は単独事故として処理され、いわゆる“隠れた事故”につながるかもしれない。富士重工業をはじめとする各社の新技術は交通事故を防ぐ可能性を大いに秘めているが、新しいがゆえにその機能をきちんと説明していく必要がある。

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