ユーロ安、米国株安を受けて大幅下落となるも値ごろ感からの買い戻しも入り下げ幅縮小清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年05月19日 17時30分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 欧州からの資金逃避の動きが続いている中で更にヘッジファンドなどへの規制やドイツ政府の空売り規制が嫌気されて米国株が大幅下落、資金逃避の動きからユーロも大きく売られたことなどを受けて売り先行となりました。日経平均は節目と見られた10100円台半ばも割り込み、10000円を意識する水準まで、TOPIXも節目と見られる900ポイントを割り込むところまで売られ大幅下落となりました。さすがに売られ過ぎ感もあり、午後に入ると為替が円安に振れたこともあり、下げ幅を縮小、小幅安まで戻しての引けとなりました。

 信用収縮=リスク資産からの逃避の動きはまだ続いています。金融取引に対する規制強化を嫌気するように一気に信用収縮となったものと思います。世界的な景気後退に繋がった「サブプライム問題」も元をただせば過度に広がった信用供与=リスク許容度を一気に縮小したことでの資金の逆流が世界的な資金の逆流になり景気後退となったのですが、何となくまた同じ轍を踏みそうな感じです。

 さすがに今回は前回の例があるので、欧州以外のところが信用を収縮させるような動きには出ないと思います。実際に日銀もドル資金の供給を行い、信用収縮を止める場面もあったようです。ただ、日本市場の下落要因は先週と同様に持高調整の売り買いに目先筋の売りが重なったことによる下落と言うような面もあり、ちょうど今年の2月の時と同じように日銀の金融政策決定会合で金融緩和継続が確認されると売りも止まるのではないかと思います。

 こうした持高調整や信用収縮要因の売りと言うことは業績面から売っているわけでもなく、ただ単に「持っているから」と言う理由で売られているわけで、売られ過ぎた銘柄などは売りが止まればしっかりと戻るものと思います。本日でも本来であればユーロ安などから売られるはずであるような銘柄が堅調となっており、持高調整の買戻しが入っているものと思われます。先週で持高調整も終わったと思ったのですが、そうでなかったのでしょうが、いずれにしても売り一巡後は3月の相場のように見直し買いや買戻しが入るのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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