ダウ平均は大幅高だが、景気減速懸念も根強く、ナスダックは小幅安清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年06月09日 08時30分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>9939.98△123.49

<NASDAQ>2170.57▼3.33

<為替:NY終値>91.46-91.52

欧州金融不安も一段落でダウ平均は大幅高だが、景気減速懸念も根強く、ナスダックは小幅安

 朝方は前日までの大幅下落の反動やFRB(連邦準備理事会)議長が景気の二番底を回避できるとの見通しを示したと伝わり、買い先行となったのですが、欧州金融不安が日替わりで取りざたされ、景気への影響が懸念されて軟調となる場面もありました。ただ、商品市況なども底堅く堅調なものが多く、ユーロを売り急ぐような動きにはならなかったことで、信用収縮の動きが止まり、市場に全体に底堅さが見られたことから、買戻しや押し目買いが入り、ダウ平均は堅調となりました。ただ、ドル高ということもあり、景気減速懸念も根強く、ハイテク銘柄に軟調なものが目立ちナスダック指数は戻り切らずに小幅安となりました。

 値ごろ感から底堅さも見られたのですが、日替わりで欧州の財政問題などが取りざたされるようです。先週末からのハンガリー問題に見られるように本来であれば大きな問題となりそうもないところまで大きく取りざたされて、過敏に反応しているようです。昨日も英国の問題やブルガリアの問題が取り上げられて、株が売られる場面もありましたが、過剰反応という感じです。何か問題になりそうなことをあえて見つけてきては売り急いでいるという雰囲気です。バーナンキFRB議長のコメントのようにセンチメントを上向かせるような発言が必要ということなのでしょう。

 個別には5月の既存店売上高が順調な伸びとなったマクドナルドが堅調、2012年の年間の利益見通しを据え置いたキャタピラーも高くなりました。金価格が上昇となったことで、ニューモント・マイニングやパブリック・ゴールドが高く、景気の二番底懸念が薄れたことから、デュポンが大幅高、アルコアやGE(ゼネラル・エレクトリック)も堅調となりました。欧州金融不安が一段落となったことで、バンク・オブ・アメリカが大幅高、JPモルガン・チェースやシティグループも堅調となるなど金融株は堅調となりました。一方、アマゾン・ドット・コムが目標株価を引き下げられたこともあり、マイクロソフトやグーグルなどのインターネット関連、インテルやアップルといったハイテク銘柄は軒並み軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株が大幅下落となったわりには前日の大幅下落の反動や円高一服となったことなどを好感して堅調となりました。ただ、持高調整の売り買いが中心と見られ、底堅さが確認されたとか底値を確認して買いが入ったわけでもなく、節目での底堅さが確認されただけということのようです。欧州での金融不安や米国の金融規制、中国の金融引き締めに対する懸念が薄らぐまではなんだかんだと上値の重い展開が続きそうです。

 米国市場はまちまちとなりましたが、ダウ平均が大幅高となったことや為替に落ち着きが見られることから、底堅い堅調な展開が期待されます。昨日の相場で節目と見られる9500円水準を保った格好となり、本日も引き続き9500円〜600円水準での下値を固めるような展開となるものと思います。朝方発表される機械受注が予想(0.5%増)を大きく上回るようであれば、売られすぎ銘柄の水準訂正=買い直しなどもありそうです。逆に予想を大きく下回るようであれば、信用収縮からの景気減速懸念が頭をもたげ、上値を押さえる動きとなるのでしょう。

 9500円水準での底堅さを確認する動きとなり、引き続き9500円水準での底堅さを確認する動きが続くのでしょう。上値も引き続き9800円〜900円程度と見られ、10000円の大台復帰にはもう少し欧州や為替の落ち着きが必要ということなのだと思います。景気減速懸念が強まると9500円水準を割り込むこともあるのでしょうがそうなる局面では今度は中国などの金融引き締め懸念が薄れることになり、下値も限られてくるものと思います。

本日の注目点

◇4月の機械受注統計(内閣府)

◇ESPフォーキャスト調査(経済企画協会)

◇米地区連銀経済報告(ベージュブック)

◇4月の米卸売売上高

◇バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長講演

◇ラッカー米リッチモンド連銀総裁講演

◇英中銀金融政策委(10日まで)

◇米10年物国債入札

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.