持高調整の売りも嵩んで大幅安清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年06月09日 17時32分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国市場はダウ平均が大幅高、ナスダック指数が小幅安とまちまちとなりましたが 、全体としては底堅い堅調な展開となり、為替も欧州金融不安が次々と取りざたされる 割りには落ち着いていたのですが、売り先行となりました。寄り付き前に発表された5 月の機械受注統計も予想を上回ったのですが、特に材料視されず、寄り付きの売りが一 巡した後も先物主導で売られ大幅安となる場面もありました。前場中ごろからは売り急 ぐ動きも一巡となり戻りを試す展開となりましたが、上値は重く、後場には売り直され て5月安値を割り込む場面もあり、最後は買戻しもあって下げ幅縮小となりましたが、 大幅安となりました。

 欧州では次々と不安を煽るようなニュースが聞かれますが、米国では景気の二番底 が避けられそうだとの見方もあり、楽観的な見方と悲観的な見方が分かれるところとな って来ました。市場では常に悲観と楽観が対立する構図ではあるのですが、現状は足元 の景況感や業績が良い割りに悲観論が台頭し、株価を抑えているようです。本日も特に 売り急ぐような材料はなく、為替が円高に振れたのも機械受注が予想を上回ったことで 、「日本買い」となってもいいところでの円高であり、決して悪いことでもないと思い ます。

 また、中国での「所得倍増計画」=賃金の倍増でもコスト増ばかりが取りざたされ ていますが、たとえばAという工場の賃金が上がれば、Bという工場ではA工場の人達 がB工場の製品を買うことで利益が倍になり、B工場の人の賃金があがり、A工場の製 品が売れて賃金を上げても利益は倍になった、などという展開になるはずです。デフレ 下の賃金上昇ではなく、インフレ、経済の拡大が続いている中での賃上げですから、決 して悪い話ということではなく、中国の購買力が上昇するということで、本来であれば 、中国関連銘柄が買われてもいいくらいです。

 一つの事象でも悲観的な見方が多ければ本日のような相場展開になり、逆に楽観的 な見方をすれば、もっと買われても良いということではないかと思います。特に悲観す る理由もないのですが、マスコミが悲観的な見方をすると総じて悲観的な見方ばかりが 集まり、株価が下がるとますます悲観的になってしまうのでしょう。ただ、大相場は「 悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福の中で消えて行く」と言 われるのですから、悲観の中に大相場の種を探してもいいのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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