次にアクシスギャラリーの展示に移る。会場全体の構成はフーニオデザインの橋本潤氏によるもの。
「ミッドタウンの展示に対し、こちらの展示は製品のストーリーをより深く掘り下げています。ですのでどうしても情報量が多くなってしまう。その見せ方をいかに見やすくするかを考えました。その見せ方については、グラフィックデザイナーの中野さんの力によるところが大きいです」(橋本潤氏)
ラグバッグというプロダクト。これをデザインしたシエム・ホフマンズ氏は、インドのデリーに行った際にレジ袋が道に捨てられ、その袋が排水溝に詰まり水が汚染され疾病が広がるという問題が深刻化しているのに直面した。そして、ホフマンズ氏はレジ袋をプレスしてシートに加工する特許技術を持っている団体「コンサーブ」に出会う。
コンサーブは高い技術力を持ってはいたが、用途を模索しているところだった。両氏はデザインとブランディングに関する協力関係を築き、コンサーブは技術を提供し、ホフマンズ氏はヨーロッパでバッグが販売できるようなデザインなどのノウハウを提供した。
ラグバッグは、通常売られているような発展途上国のプロダクトとは一線を画した戦略に出た。フェアトレードショップには一切販売せずに、若者が普通に買い物にくる場所でメッセンジャーバッグとして販売。ホフマンズ氏が考えた独特なマーケティングプランが功を奏した。1つは雑誌記事へのプレス。オシャレなライフスタイル雑誌で、このバッグのバックグラウンドを紹介してもらうこと。
次に、ファッションやアートスクールの学生たちにバッグを無償配布し、広告塔になってもらったこと。インターネットで販売したこと。ターゲットとなる若者が集まる場所に突然このバッグのラベルを出現させるというゲリラマーケティングを行ったこと。
ターゲットを明確化して、このバッグのブランド力を高めていき、見事ラグバッグは一定の地位を勝ち得た。さらに、バッグを作る工程に現地の労働力を用いることで、彼らは収入を得ることができる。現在は、まだ需要と供給が見合わず、生産が間に合わないという問題を抱えているという。
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