普天間問題から財政再建まで――菅政権が抱える課題とは藤田正美の時事日想(1/2 ページ)

» 2010年06月14日 00時00分 公開
[藤田正美,Business Media 誠]

著者プロフィール:藤田正美

「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年に同誌編集長、2001年〜2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”


 菅直人内閣が成立してから1週間。内閣支持率は急回復し、民主党への支持率もやはり大きく回復した。民主党幹部もほっと一息というところだろう。こうなったら一刻も早く参院選に突入したいというわけで、国会会期を延長せず、「重要法案」であった郵政改革法案は廃案ということになる。これに抗議して国民新党の亀井静香・郵政改革担当相は辞任という騒ぎになったが、これはまあ特定局長会への「落とし前」のようなものだから、国民新党が連立から離れる気は始めからなかったに違いない。

 しかし、支持率の回復とは裏腹に、菅内閣のかじ取りは難しい。まず、鳩山政権からの置き土産がある。普天間基地の移設問題では、まだ辺野古に移設する滑走路の設計やら工法やら具体的なところが積み残されている。これを8月には決着させるというのがこれまでの方針だ。それにこの問題を決着させるには、訓練をどの程度県外に移すのかという具体案がどうしても必要だろう。徳之島になるのかどうかは分からないが、現在の状況で沖縄に対して訓練移設の方針を示せるのかどうか。これははなはだ不透明である。

 9月の民主党代表選はどうなるのか。焦点の1つは小沢前幹事長がどう動くかということだが、参院選の結果次第では再び表舞台に登場してくることもありうる。小沢グループのコアの人たちは、とりあえず小沢氏をかつぐしかないわけだから、本人の意思はあまり関係ないかもしれない。党を割るという可能性も考えられなくはないが、それは小沢氏の「二大政党制」という持論に反することになるから、果たしてその選択はあるだろうか。

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