欧州での金融不安や金融規制強化懸念が薄らぎ、ユーロが高くなったことから、米国市場でも景気回復を織り込み直すように大幅高となり、その動きを受けて日本市場も買い先行、大幅高の始まりとなりました。その後も値持ちの良さもあって後場から買戻しも交えながら更に買い上がる展開となり、大幅高となりました。節目と見られる9800円〜900円水準を抜け、10000円水準をも抜けたことで、底入れ感も強まり、買戻しを急ぐ動きも見られたようです。
相場の市況コメントなどで、「中国が高いから高い」とか「欧州が高いから高い」などというコメントが見られますが、実際には「中国が高い要因が日本株が高くなるような要因であったから高い」ということなのだと思います。昨日の欧米の市場も米国市場が大幅高となった理由が「欧州市場が持ち直した」などというコメントもみられましたが、正確には欧州で金融規制強化の動きが銀行税の問題なども含めて薄らいだことやスペイン国債の入札が順調であったことから、欧州金融不安が薄れて、金融機関やファンド筋などのリスク許容度が上昇し、リスク資産にも資金が流入した」ということなのです。
したがって、日本でも資金が潤沢に供給されることが日銀の金融政策決定会合で確認されたことも、欧州株高=リスク許容度の上昇の一因ということなのです。加えて中国市場が休場ということもあり、金融引き締め懸念が話題になっていないこともリスクを取りやすくなっているものと思います。また、「デカップリング(非連動)」「リカップリング(連動)」もどうやら「デカップリング」となりそうだとの印象も強まり、株式相場、商品相場に底入れ感も出たものと思います。
このように、相場を見る上では、もちろん結果も大事ですが、「どうしてそうなったか」「何がどうして、そうなったのか」をしっかりと把握しておく必要があると思います。根本的に欧州金融不安が解決したわけでもなく、金融規制強化が立ち消えたわけでもなく、まだまだ米国や中国の「出口戦略」なども話題になる可能性もあり、簡単にはいかないのでしょうが、都度、相場の動きをしっかりと分析していれば、上がっても下がっても慌てず騒がず戦略を立てることが出来るのではないかと思います。
慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤」
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