中国元の実質切り上げも好感されて大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年06月21日 16時15分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 サッカーワールドカップも実体経済も新興国が元気が良く、欧州などの伝統国が元気がない感じです。ただ、本日は欧州での金融不安が薄れたことに加え、中国での元の実質的な切り上げが好感されてほぼ全面高となりました。売買高は相変わらず多くはなく、今一つ盛り上がりに欠ける展開でしたが、指数は予想以上の上昇となりました。中国元の問題で方向感のない展開となるのかと思われましたが、中国元の切り上げに関しては予想されていたことでもあり、悲観的な部分は織り込まれていたということなのでしょう。

 実際の影響はどこまであるのか、個別には大きなマイナスの影響がある銘柄もあるのですが、そうした銘柄まで中国元切り上げの報道を受けて、買われた格好となっています。欧州金融不安が薄れたことや中国の景気減速懸念が薄れたことが大きな上昇の要因なのでしょうが、4月高値をつけた後大きく売られる要因となったものが徐々に(「解決された」わけではなく)こなれて、業績の底堅さ、景気回復で売り消されているようです。

 「デカップリング」か「リカップリング」かといわれれば、ここまでの状況を見るとやはり「デカップリング」といえるものと思います。かの「リーマン・ショック」の時でも実際には中国もインドもすぐに立ち直り、財政政策はあったものの、「デカップリング」であったとも考えられるのではないかと思います。そもそも「リーマン・ショック」といわれますが、実際にはリーマンブラザーズが破綻したことが、世界景気を後退させたわけでもなく、「サブプライム問題」であり、その元を正すと、中国やインドなど新興国の「バブル」が弾けたことが要因となった面もあると思います。

 しかも、「リーマン・ショック」の時も、今回の下落も、というよりは、2007年に高値をつけた後の大きな調整局面では常に業績云々というよりは単純に投機的な資金の回転が逆に向かったことが大きな要因であり、資金の回転の方向が見えてくると底入れとなり、リスク許容度が上昇、信用が供与されと投機的な資金が潤沢になり、株価や商品相場が上昇、バブルとなって、信用収縮=相場が高くなることによってリスクが高くなると一気にリスク許容度が低下して大きな下落となることの繰り返しとなって来るのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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