天才棋士は何十手も先を読むそうですが、普通の人でもたった2手ほど先が読めれば大人として振る舞えるようになります。2手とは「次に相手が打つ手」と「それに応じて自分が打つ手」の2つです。
相手が打つ手を想像するためには、「相手がどんな考え方をする人か」を想像する必要があります。しかし、子どもは「他者は自分と同じ」という非現実的な前提を信じており、「誰でも自分と同じように感じるはず、考えるはず」と思っています。「相手の立場から見れば、物事は違って見える」ということを知りません。
実際には、人はそれぞれ感じ方も考え方も全然違います。したがって、相手の次の手を読むには、まず“自分とは違う人”を理解する必要があるのですが、これが子どもには難しい。 この「多様な他者を想像できるか」という点が子どもと大人の大きな違いです。
さらに2手先として、「自分の言動に対して、きっと相手はこう感じてこう反応するから(1手先)、それに対して自分はこう感じるよね(2手先)」というところまで想像する必要があります。こうなると、今の自分の言動を端緒として、後々で自分に起こることの影響があらかじめ想定できるようになります。すると、それに応じて今の自分の言動を変えようというフィードバックが働きはじめます。
つまり、2手先を読むと最初の自分の行動が変わってくるのです。自分の言動がどう自分に戻ってくるかを事前に理解すれば、人は腹いせ的な行動やむやみに短絡的な言動をしなくなるでしょう。
しかもその際に「自分とは違う考え方、モノの見方をする人」という要素を組み入れて想像する必要があるので、行動前にじっくり考えるようになります。これが客観的には「思慮深くなる」ということであり、大人になるとはまさにそういうことです。
というわけで、大人への3つ目の階段、それは「自分とは異なるものへの想像力」を手に入れ、それをフィードバックとして使いながら自分の言動を選択することができるようになる、という段階です。
まとめると、ちきりん的大人の条件とは次の3つです。
逆に言うと、子どもとは↓のように言えるでしょうか。
そんじゃーね。
関西出身。バブル最盛期に金融機関で働く。その後、米国の大学院への留学を経て現在は外資系企業に勤務。崩壊前のソビエト連邦などを含め、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。Twitter:@InsideCHIKIRIN。
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