あなたはモグリの記者ですか? そう感じさせられたエライ人の論理上杉隆の「ここまでしゃべっていいですか」(4)(3/3 ページ)

» 2010年08月18日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
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取材の受け方がヘタ

作家・経済ジャーナリストの相場英雄氏

上杉:読売テレビの岩田公雄さん(特別解説委員)は「そのころの自分は地方にいたので、官房機密費のことは見たことも聞いたこともない。だからそういうことがあることが分からない。『ない』と信じている」と言っていた。さらに以前『週刊ポスト』の取材で、朝日の幹部は「朝日新聞の記者は一切もらっていない」と言い切った。内部調査をしての発言ならばまだしも、それは断定できないのではないか、という感じですが。

窪田:その世代の記者は、取材の受け方がヘタですね(笑)。「もう自分はクロです」と言っているようなもの。

上杉:また政治評論家の三宅久之さんも、『たかじんのそこまで言って委員会』(読売テレビ)という番組の中で、ボクにいきなりこう言ったんですよ。「だいたいこの人はね、デタラメでインチキなんだよ。取材も受けていないのにウソばっかり書いているからね」と。

窪田:もう政治家並みに、ウソをつくのがヘタですねえ(笑)。

上杉:こちらは繰り返し取材を申し込んでいるのに、「取材を受けていない」という人がいます。そして、そういう人に限って「インタビューを受けていない」ことを強調する。しかしこれは間違っていて、正確に言うと「取材を拒否した」だけのこと。ちなみに野中広務さんも安倍晋三さんも、三宅さんもそうでした。彼らに共通していることは取材依頼という入口ばかりを取り上げ、問題の中身については一切語りません。

 →続く

3人のプロフィール

上杉隆(うえすぎ・たかし)

1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。NHK報道局勤務、衆議院議員・鳩山邦夫の公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者などを経て、2002年からフリージャーナリスト。同年「第8回雑誌ジャーナリズム賞企画賞」を受賞。著書に『官邸崩壊 安倍政権迷走の一年』(新潮社)、『ジャーナリズム崩壊』(幻冬舎新書)など多数。

相場英雄(あいば・ひでお)

1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。2005年に『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『株価操縦』(ダイヤモンド社)、『偽装通貨』(東京書籍)など多数。

窪田順生(くぼた・まさき)

1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、フライデー、朝日新聞、実話紙などを経て、現在はノンフィクションライターとして活躍するほか、企業の報道対策アドバイザーも務める。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術 』(講談社α文庫)などがある。


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