佐々 デートムービーに向いてる映画はわしの好みとはちょっと違うのは残念だけど、しょうがないのか。『第9地区』は文句なくわし好みの映画だったなー。
わこ 話はこっちのほうが俄然面白いよね。でもエビ型エイリアンがちょっとグロくてどうにも可愛いと思えないあたりが、デートには不向きなところかな。あれがETくらい可愛かったら、オッケーだったかもしれないけどね。
佐々 可愛いエビエイリアンの『第9地区』なんてあの映画に対する冒涜だろう。あのエイリアンが差別対象になってるところが話のキモでもあるんだからさ。南アフリカのヨハネスブルクが舞台で、南アフリカ出身の監督作品だから、人種差別的な社会問題とちょっとオーバーラップするんだよな。
わこ 20年前にヨハネスブルクに漂着した宇宙船に乗ってたエビっぽいエイリアンたちを最初のうちは保護するんだけど、難民キャンプ状態になったエイリアン居住区が犯罪の巣窟になっちゃって周辺住民との間で問題になる。人(?)権団体みたいなのも出てきたりしてさ、社会派っぽい始まり方なんだけどずっとそういうノリなわけでもなくて、主人公ヴィカスのカフカばりの変身譚だったり、ロボットアクションみたいなシーンもあって目が話せないよね。
佐々 なにしろヨハネスブルク上空に浮かぶ巨大宇宙船の映像が、妙に現実的な迫力があってイイ!
わこ ヴィカスと行動を共にするエイリアンの子供はちょっと可愛かったかな。でもほかのエイリアンは烏合の衆すぎて野蛮だし、女子としては「うえ〜」って感じ。
佐々 あのエイリアンは蜂みたいに指揮系統がはっきりした状態なら統制がとれるんだけど、宇宙船の故障でそれがうまくいかなくなっちゃってるから、烏合の衆になっちゃうのはしょうがないんだよ。
わこ このエイリアンきも〜いって思いつつ、ヴィカスの半端に権力握った奴にありがちな驕った態度がむかつくもんで、謎の液体を浴びてエイリアン化するヴィカスがかわいそうとは思えない。奥さんはちょっとかわいそうだけどさ。
佐々 でも、指揮官クラスのエイリアン、クリストファー親子と協力することになって、ヴィカスも観客もエイリアンに感情移入できるようになってくるんだよな。
わこ そうね、ヴィカスとクリストファーのチームはちょっといい感じだった。いつまでもヴィカスのほうが愚かしくて、人類としてごめんなさいって気分になるけど(苦笑)。
佐々 やっぱこっちのほうが見ごたえあるよなー、こういう映画でも引かずにつきあってくれる女子、いないかのう。
わこ 私だったらいつでもつきあってやってもいいけど? お茶くらいおごってくれるんなら。
佐々 いや、お前じゃなくて、もっと可愛げのあるタイプがいいの。
わこ 贅沢いってんじゃねーよ、ないものねだりだなあ。あ、でも「モテキ」のいつかちゃんみたいなサブカル好きなタイプだったら『第9地区』でも大丈夫じゃね?っていうか、いつかちゃんを『タイタンの戦い』に誘ったら小馬鹿にされると思うよ。
佐々 なるほど、いつかちゃんみたいなタイプとだったら、映画のあとも一緒に盛り上がれそう。でもわし的には土井亜紀ちゃんのほうがタイプなんだけど。
わこ 土井亜紀みたいなタイプは『タイタンの戦い』のほうがいいんじゃね? 映画の内容より「デート」に重きを置くタイプ。っていうか映画じゃないデートに誘ったほうが喜びそう。
佐々 そっか……。世の中うまくいかないのう。
わこ うまくいかないのはあんたがゼウスばりにわがままなせい。こだわりが強くてわがままな人は1人で映画見てください。
映画好きが高じて、コラムを書いたりもするイラストレーター。『WOWOWマガジン』『問題小説』『てぃんくる』などでイラストコラムを執筆。『Tokai Walker』の金子裕子さんのコラム「セレブ診療所」にコマ漫画を付けている。過去には『DVD&ビデオでーた』でビデオレビューのイラストコラム、『DVDでーた』で記者会見をレポするコラム『現場から櫻井輪子でした』を連載。
著書に『「へのへのもへじ」から始める 世界一カンタン! イラスト練習帳』がある。公式サイト「SakuraiWako'sめカラうりぼう」。
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