欧州金融不安から利益確定売りに押されて大幅安清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年09月08日 08時28分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10340.69▼107.24

<NASDAQ>2208.89▼24.86

<為替:NY終値>83.82-83.88

欧州金融不安から利益確定売りに押されて大幅安

 3連休前の大幅高の反動に加え、欧州での金融機関に対するストレステスト(資産査定)の問題から金融不安が再燃、寄り付きはヘッジ売りの買い戻しもあって堅調な場面も見られたものの、利益確定売りや手仕舞い売りを急ぐ展開となり大幅下落となりました。それでも、ユーロ安となる中で商品相場が比較的堅調となったことなどから、信用収縮懸念が拡大することもなく、底堅い銘柄も見られました。

 大幅安とはなったものの先週の雇用統計などに見られるようにドル安メリットもあって、比較的景気回復鈍化に対する懸念は強まらず、あくまでも利益を確保するような売りという感じでした。センチメントは悪くなく、欧州市場でもユーロ安メリットが期待されるということもあってか、為替ほど株式指数が売られるということでもなく、金融不安は残るものの世界的な経済の拡大に対する期待も強いようです。

 個別には欧州金融不安が再燃したということで、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど金融株が安く、アメリカン・エキスプレスは大幅安となりました。欧州金融不安からの世界的な景気停滞も懸念され、インテルやIBMなどハイテク銘柄は軟調となりましたが、HP(ヒューレット・パッカード)の元CEO(最高経営責任者)が社長に就任するオラクルは大幅高、HPは軟調となりました。GE(ゼネラル・エレクトリック)やコカ・コーラなどは高く、金価格の上昇を受けてニューモント・マイニングやパブリック・ゴールドんど金鉱株が高くなるなど、指数の大幅安の割には全面安と言うことでもなかったようです。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国市場が休場となる中で円高を嫌気して軟調となりました。日銀の金融政策決定会合の結果も特に材料視されることもなく、前日の大幅高の反動もあって軟調となりました。持高調整の売り買いも見られ、一時堅調となる場面もあったのですが、積極的に買い上がる動きはなく、上値も限定的となりました。下値も円高となった割には落ち着いた展開で底堅く節目と見られる9200円水準を保っての引けとなりました。

 米国株が大幅下落となったことや円高に振れたことから日本市場は軟調な展開となりそうです。円高に対しての政府・日銀の無策ぶりが嫌気される場面も見られるものと思われ、円高容認とも受け取れるような政策の中では輸出株を中心に買い手控えられ、見切り売りに押される場面もありそうです。海外生産が順調に行っているようなところは売り込まれることもなく、また、円高メリットのある銘柄などが買われて底堅さも見られるのでしょうが積極的に買い上がるような動きは見られず総じて軟調な展開となりそうです。

 日経平均は9200円〜300円水準を抜け切れず、この水準で底値固めとなるのか、まだ8800円〜900円水準を下値に9200円〜300円水準を上値のもみ合いとなるのかが試されるところですが、円高が進んだことやシカゴ市場の日経平均先物も9100円を割り込んだ水準であることから、9200円〜300円が上値のもみ合いとなりそうです。朝方発表される機械受注は堅調な予測となっており、予想(平均1.9%、QUICK社調べ)を大きく上回るようであれば、底堅さが見られるものと思います。

本日の注目点

◇7月の国際収支(財務省)

◇7月の機械受注統計(内閣府)

◇8月の貸出・資金吸収動向(日銀)

◇8月のマネーストック(日銀)

◇30年物国債〔9月債〕入札

◇8月の企業倒産(民間調査会社)

◇8月の景気ウオッチャー調査(内閣府)

◇9月の金融経済月報(日銀)

◇7月の米消費者信用残高

◇米10年物国債入札(銘柄統合)

◇米地区連銀経済報告(ベージュブック)

◇カナダ中央銀行政策金利発表

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