検察よ、少し“傲慢”ではないか相場英雄の時事日想(3/3 ページ)

» 2010年09月16日 08時00分 公開
[相場英雄,Business Media 誠]
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切れ者刑事20人の伝説はいずこに

 しかし、こうした強引とも言えるメディア対策の手法は、冒頭の案件が示すように肝心の捜査そのものにも波及し、検察という組織全体を蝕んでいたのではないだろうか。

 筆者は社会部経験がなく、検察取材を直接手がけたことはない。だが、旧知の同僚、あるいは他社の記者、フリーのジャーナリストからは口々に「実地の捜査能力が低下している」との言葉が漏れてくる。

 「ベテランや切れ者と呼ばれる刑事が20人束になってかかっても、特捜部の検事にはかなわない」――。かつて筆者が小説の取材で警視庁関係者を当たっていると、頻繁にこんな言葉を聞いた。彼らの言葉には誇張はなく、検察官の能力の高さを筆者はすり込まれた経験がある。だが、最近の地検、あるいは特捜部の対応を見ていると、ベテラン刑事が発した“伝説”は過去のものだと言わざるを得ない。

 筆者は地検の機能を分散せよ、あるいは解体せよと主張するつもりはさらさらない。ただ、一般国民との間で橋渡しの役割を果たす記者への対応を変えるだけでも、自身に降り掛かってくる批判の雨が幾分和らぐのでは、と一考を促しているだけなのだ。

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