介入期待も空振りに終わり、円高を嫌気して大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年10月12日 16時45分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国雇用統計の発表やG7も終わり、為替も落ち着いてくるかと思われ、ヘッジ売りの買戻しもあって、買い先行で始まったのですが、期待された介入もなく、円高が進んだことで軟調となり、後場に入ってさらに円高が進むと見切り売りも嵩んで大幅安となりました。G7で介入に対する言及もなかったと見られたことから、介入も見られるかと期待されたのですが、円高が進んでも株価の下落が見られても介入の気配もなく、円高容認を嫌気して売られました。

 各国政府が自国の利益のために周囲に振り回されることなく通貨安政策を取っているにも関わらず、日本では円高を容認するかのような政策となっています。担当大臣も口では「断固たる措置を取る」といいつつ、円高を放置しており、この水準ではまだ「断固たる措置を取る」べき水準ではないと言うことなのでしょうか、何度もこのコラムでも述べて来たことですが、政策の実施には「市場の感覚」が必要ではないかと思います。

 市場では今、誰が何を考えて動いているのかを考えることが必要ですが、自分が思っている投資や投機をするタイミングを計るにはしっかりと市場の動きを見る事が大切です。ですから、介入の時などは市場の心理、市場の動向を考えると効果的な結果を得ることが出来るのではないかと思います。もちろん、ちょっとした介入だけでは円高傾向を変化させることは出来ないと思いますが、市場のタイミングを計れば、ちょっとした介入で大きな効果を得ることも可能だと思います。

 株式市場や為替市場を操作することは出来ないのですから、相場の動くタイミングで円安方向に後押しして上げるとか、株価が上昇したがっているタイミングで円安方向に操作すると言うように、市場の動きを知れば、介入などの効果が得られるのでしょう。介入をすれば円安になると言うことではなく、市場参加者が円を売りたがっている時に一緒になって売り叩く、円を買いたがっている時に出鼻をくじくなどということも市場の動きを見ていれば十分に可能で、介入効果も大きいと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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