世界中の人から心臓音を集めたアーカイブ:瀬戸内国際芸術祭(4/4 ページ)

» 2010年10月20日 08時00分 公開
[上條桂子,エキサイトイズム]
エキサイトイズム
前のページへ 1|2|3|4       

 香川県のプロジェクトチームは「基本的に島の住民の方たちがすべて決めており、丸の内ホテルのシェフたちは、いわゆるレストランとしての衛生指導や調理指導にあたっています。豊島は、もともと自給自足で成り立っていたという食材の宝庫です。魚も野菜も米もフルーツも、極力地元の食材を使ったものを提供していきます」という。

エキサイトイズム 島キッチンセット1500円、オリーブサイダー500円
エキサイトイズム

 ランチメニューはその日に採れた食材で毎日変わる。上写真は、前菜がマダイの酢の物、タマネギサラダ、メインが唐櫃浜の地魚(ウミタナゴ)、ピーマン、ナス、ニンジン、ゴウ汁(大豆をすりつぶした冷製スープ)、ピクルス。どの食材も、太陽の恵みをたっぷりと受けて味が濃く新鮮そのものである。素材の良さを活かしたメニューが並ぶという。

 レストラン中央の柿の木には舞台があり、ライブイベントなども行われている。地元の美味しい食材をつまみながら、ビールでも片手に音楽を聴く、最高の時間が流れる。人びとが集まり島の内部と外部をつなぐ場を作る、それはいわゆる建築なのだと思うが1つのアート行為でもある。

 オラファー・エリアソンの作品も豊島にある。民家の間を抜けて歩いていくと、一軒の蔵が現れ、中では「ビューティー」な空間が展開されている。

エキサイトイズム

 オラファー・エリアソンといえば、金沢21世紀美術館「あなたが出会うとき」を鑑賞した人も多いのではないだろうか。「色」「光」「影」「風」「波」といった自然現象を駆使し、人のさまざまな知覚に働き掛ける、大きな実験装置のような作品だ。有名な作品は、ロンドンのテート・モダンに大きな太陽を作り出し、巨大な空間の中を霧で満たした「ウェザー・プロジェクト」や、先の金沢で発表された「あなたが創りだす大気の色地図」では、霧で満たされた展示室内をRGBの光の三原色の蛍光管で照らし、色で空間を満たすという試みをした。人は霧の中を歩き回るごとに色のはざまを自らの視覚として体験できる。

 自らが作品の中に入り、現象を体感するオラファー作品、今回は「ビューティー」。真っ暗な蔵の中に立っていると、奥の方から霧のカーテンが降りかかってくる。すると目の前に「虹」が発生するのだ。虹という日々目にしている現象も、改めて提示されるとどんな仕組みで出来ているのだろうかと考える。

公式ガイドブック・サイト:H1エリア〜H5エリア

島内での交通は、芸術祭会期中のみ走る無料バスを利用できる(自動車などの乗り入れは遠慮したい)。バスは島内を1周する環状線で西回りと東回り、約40分に1本間隔で運行されている。豊島に向かうフェリーは4つの航路があり、高松からは高松〜直島(本村)〜豊島(家浦)が便利。

作品鑑賞可能時間=9:00〜17:00、無休

(オラファー・エリアソンは10月19日、10月26日をのぞき火休。10:00〜)


心臓音のアーカイブ

Open.10:00〜17:00、火休(10月19日、10月26日は開館)

会期終了後のスケジュールはWebサイト参照


前のページへ 1|2|3|4       

Copyright (C) 1997-2014 Excite Japan Co.,Ltd. All Rights Reserved.