マダム ブリュレ、大人気バウムクーヘンの秘密郷好文の“うふふ”マーケティング(1/3 ページ)

» 2010年10月21日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷 好文

マーケティング・リサーチ、新規事業の開発、海外駐在を経て、1999年〜2008年までコンサルティングファームにてマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略など多数のプロジェクトに参画。2009年9月、株式会社ことばを設立。12月、異能のコンサルティング集団アンサー・コンサルティングLLPの設立とともに参画。コンサルタント・エッセイストの仕事に加えて、クリエイター支援・創作品販売の「utte(うって)」に携わる。著書に『顧客視点の成長シナリオ』(ファーストプレス)など、印刷業界誌『プリバリ[印]』で「マーケティング価値校」を連載中。中小企業診断士。ブログ「マーケティング・ブレイン」(コンサル業)、「cotoba」(執筆業)。Twitterアカウントは@Yoshifumi_Go


 ひとことで言えば“忘れられない味”。

 直径16センチのスイーツを樹脂容器から取り出す。ナイフを当てる。思いのほか固い。グッと切り込む。六等分、いや四等分のぜいたくなカットが似合うボリューム感。断面のフォルムからバウムクーヘンの“年輪”が、うっすらと見える。これはマダムシンコの人気商品「マダム ブリュレ」、さっそくいただいてみよう。

 スプーンを上部のキャラメリゼ(火で砂糖を焦がして香ばしさを出したところ)に当てる。コンコンと叩けるほど固い。フランス映画『アメリ』では、主人公がクレームブリュレをスプーンでカンカンと叩いて割るシーンがあるが、そっくりだ。ぐっとひと口大にしてほお張る。

 おいしい、だが……甘い! こてこてに甘い! バウムクーヘンの甘さに加えて、フランス産カソナード(赤砂糖)をバーナーで溶かしてカリカリッと固めた、キラリと光るあめの甘さ。この甘さを何と表現すべきか。そう、後戻りできない甘さなのだ。

マダム ブリュレ(出典:マダムシンコ)

北摂発の大人気のバウムクーヘン

 絶大な人気を誇るバウムクーヘン「マダム ブリュレ」は、大阪府箕面市に本店があるマダムシンコ(株式会社カウカウフードシステム)の定番商品。常に品薄で、通販では一時3〜4カ月待ち、地方のデパ地下などでの期間限定販売では、開店前に整理券が配られることさえある。

 人気のワケが知りたくて、関東での催事販売で私も購入した。食べてみると、濃密な味に加えて、口の中で共鳴する香ばしい焦げと、バウムクーヘンのしっとりという異質の組み合わせに驚かされた。普通のバウムにない、しっかりと柔らかい絶妙なバランスが楽しい。

 もう1つ、秋の限定品も味見してみた。

 「えびすかぼちゃバウム」は、北海道産のえびすカボチャを裏ごししたペーストを練りこんだバウム。かぼちゃの甘味で舌触りよく、まろやかに仕上がっている。洋酒の香りもいい。強烈な甘さのマダムブリュレに比べて、こちらの方が食べやすいと感じた。マダム ブリュレが胸元への直球だとすれば、えびすかぼちゃバウムはタイミングが合わせやすい真ん中高めといった感じか。「かぼちゃとキャラメルは鉄板の組み合わせだから」と相棒cherryさんも言う。

 マダムシンコのWebサイトでは「常温」「加熱」「冷凍」という3つの食べ方を提案する。レンジで20秒ほどチンしてみたが、上も下もほくほくになってスポンジケーキのような食感になった。好き嫌いはあるだろうが、“別モノ”となるのである。私はよく冷やした固めの食感がこのブリュレには一番似合うと思う。価格はマダム ブリュレ、えびすかぼちゃバウムいずれも1470円だ。

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