なぜコンビニは“新天地”を探し続けるのかローソンを“研究する”・スタート(1/5 ページ)

» 2010年10月27日 11時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 「これまでコンビニ業界というのは“陣取り合戦”を繰り広げてきた。新規出店ができなくなれば、このビジネスモデルは終わり」(業界関係者)――。

 24時間365日営業という利便性を背景に、成長を続けてきたコンビニが、“踊り場”を迎えている。2009年の全店ベース(11社)の売上高は7兆9043億円とかろうじて、前年比0.6%のプラス。国内の店舗数も4万2629店(2009年12月末)となり、新規出店の余地は小さくなるばかり。こうした背景を受け、コンビニ各社は“新天地”を求めて動き始めた。

(出典:ローソンのアニュアルレポート)

売り上げを伸ばすために、大手コンビニは海外へ

 コンビニの歴史は、1974年にセブン-イレブンが第1号店(豊洲店)をオープンしたのが始まり。その後、各社が消費者のニーズに合わせた商品開発、フランチャイズシステムによる大量出店など、米国発のシステムを日本流にアレンジし、成長を遂げていった。1990年代半ば以降、百貨店やスーパーの売り上げが苦戦している中でも、コンビニは孤軍奮闘を続けてきた。

 しかし国内店舗数が4万店に近づいた2000年、これまで成長を続けてきたコンビニにも“陰り”が見え始める。そのころから全店ベースの売上高も頭打ちとなり、低成長時代に突入していったのだ。事実、1店舗当たりの売上高は苦戦しており、その減少分を新規出店でカバーしてきた。船井総合研究所の笠井清志シニアコンサルタントは「成熟している業界なので、もはや急激な市場拡大は難しい。売り上げを伸ばすには、海外に出店するしかないだろう」と分析する。

 王者セブン-イレブンは北京に、そして2位のローソンは上海を中心に新規出店を加速する構え。またファミリーマートは2015年に2万5000店体制とし、そのうち海外に1万5000店を展開する予定だ。

 大手コンビニは日本という“旧大陸”を見捨てたわけではない。ファミリーマートは、業界7位のam/pmを買収。am/pmの最大の強みともいえる首都圏の店舗を取り込み、この春から順次ファミリーマートへと切り替えている。このまま計画通りに進めば、東京都内の店舗数はセブン-イレブンを上回る。またローソンはメイン顧客層である20〜40代の男性だけでなく、「ナチュラルローソン」や「ローソンストア100」を展開し、新たな客層をつかむことに力を入れている。

 コンビニ各社は自分たちのビジネスを終わらせないためにも、“新大陸”を発見しなければいけない。数少ないチャンスをものにするコンビニはどこだろうか。そこで業界2位のローソンにスポットを当て、同社の戦略などに迫ってみた。

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