街を壊さないで……再開発を巡る“他所者視点”相場英雄の時事日想(2/3 ページ)

» 2010年11月04日 08時00分 公開
[相場英雄,Business Media 誠]

 閑話休題。

 なぜ筆者がこの「桜山」に触れたのか。ここ数カ月、盛岡で同地域の再開発を巡る議論が活発化しているからなのだ(参照リンク)

 筆者は盛岡好きを自認している。地元民の街並保存への意識が他の都市に比べて格段に高い上に、食べ物がウマく、人情も厚い。一方、筆者は年に数度この街を訪れるだけの他所者だ。地元の論争に正否の判断を下す立場でもないし、その資格もない。

 ただ、旅好き、レトロ飲食街好きの他所者視点で言わせてもらえば、再開発反対派の主張に賛同する。昨今、ご当地メシがブームとなる中で、盛岡を代表する麺の1つ、じゃじゃ麺は桜山地区のたたずまいの中で食べることでウマさが倍増すると確信しているからだ。

 ご当地食マニアの旅行者の多くは、その街独自のメニューを食べに来ると同時に、その街の歴史、たたずまいをも同時に楽しむ。仮に、桜山地区の再開発が実行に移され、じゃじゃ麺の有名店ほか他の飲食店が移転してしまったら、盛岡を訪れる多数のマニアたちが失望することは間違いない。貴重な観光資源が減じてしまうことを覚悟すべきだろう。

リフォームに待った

 筆者は盛岡市のほかに、福島県会津若松市、青森県弘前市の街並のファンでもある。会津若松の場合、市内有志が中心となり、「七日町通り」など古い商家や歴史的な建造物を保存し、「商店街の街並保存を通じて多くの観光客誘致に成功している」(福島県の地元紙記者)。筆者だけでなく、多くの観光客が訪れ、街を散策するとともにソースカツ丼やソバ、ラーメンなど地元食を楽しんでいる。

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