ゲームは単なる娯楽という1ジャンルを超えて、今や私たちの生活全般に広がりつつある。このコラムでは、ソーシャルゲームや携帯電話のゲームアプリなど、すそ野が広がりつつあるゲームコンテンツのビジネスモデルについて、学術的な背景をもとに解説していく。
娯楽コンテンツは、国によって嗜好(しこう)が異なる。「ロールプレイングゲーム好きの日本、FPS※好きの米国」など、ゲーム業界では古くから言われてきた。ゲーマーの声に応えようと、細かなニーズに合わせようとした結果、さまざまなゲームが作られるようになった。
ところが、近年のソーシャルゲームやアプリによって、このトレンドが一転した。顧客の細かい好みを掘り下げる目線から、誰もが楽しめる汎用的なゲームを世界の広い市場に展開する方向へ、転換している。
国際比較のために、世界90カ国に配信されるiPhoneアプリのランキングを見てみよう。有料のゲームアプリでは、フィンランドRovioのパズルアクションゲーム「Angry Birds」など、全世界で人気のゲームが各国のランキング上位を占める。ただし、日本は諸外国と異なり、世界共通の人気ゲームに続いて国内企業のアプリがランクインしている。
Angry Birdsの強さを見ると、世界中で「楽しい」と思うものは共通しており、ゲームのニーズが単一化したようにもみえる。反対に、今後の市場成熟によって、ヒットタイトルが分化していく可能性も否めない。嗜好の国別の違いという細部に、今はまだ手が回っていないだけかもしれない。
単一化が進むならば、世界共通のルールを知ることが急務となる。逆に分化が進むならば、欧米とは差別化したゲームで勝負することになる。日本の独自性を生かした差別化が期待されるところだが、高品質でありながら競争力に結び付かない「ガラパゴス」問題が発生している。目の肥えた国内ユーザーのニーズに応えていると、どうしても高スペックで難しいゲームになってしまい、他国ユーザーが楽しめるものが作りにくくなる。ガラパゴスと卑下するだけでなく、日本の独自性を生かす方法はないだろうか。
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