海外市場が大幅安となった割には底堅い展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年11月24日 16時21分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 日本が休日の間にいろいろなことが起こり、米国株式市場などが大きく下落、日本市場も本日は大幅下落となる場面もありました。ただ、逆に考えると、あれだけ多くの悪材料があった割には米国市場も堅調、底堅いとも言え、金融緩和効果からの「過剰流動性」は続いていると見てもいいものと思われます。日本市場も寄り付きこそ大きく売られ、下値の節目と見られる9800円〜900円水準まで売られたものの、下値を売り急ぐ動きもなく、為替の動向を見ても「信用収縮」や「リスク回避」を急ぐようなこともなく、落ち着いていると見てもいいと思います。

 悪材料には敏感に反応しても良さそうなのですが、日本株の出遅れ感も根強いということや米ドルが「有事のドル買い」と言うこともあって堅調、円高がどんどん進むというようなこともなく、底堅さが見られたものと思います。「センチメント」=「気分」、「雰囲気」で相場が動いているような面もあり、底堅さが見られるのだと思います。株式市場だけではなく、「市場」に参加しているいる人の考えが強気なのか弱気なのか、で相場の動きが説明できてしまう面も多く、「相場は心理戦」と言えるような動きが本日の市場ではよく出ていたのではないかと思います。

 市場の雰囲気が「これ以上円高にならないのではないか」という雰囲気になっており、ドルを売り急ぐ動きも円の買戻しを急ぐ動きもなく、為替が落ち着いているものだから、株式相場も売り急ぐような動きも見られないということなのでしょう。落ち着いて考えれば、「ここで慌てて買うことはなかったのに・・・」と思うことも多いのでしょうし、「もうダメだ!」と思って大きな損を出して売ったところが底値になるということも多いと思います。

 相場の心得を記したものや相場格言を見ても、結局「慌てると良いことはない」と言うことがわかっているのですが、どうしても慌ててしまうことが多いのではないかと思います。相場に参加する時に、漠然と高くなると思う、と言うことで買う人は少ないのではないかと思いますが、「買う」と決めた材料や指標、前提などが、「買う」と決めたときと変わってしまったときは、損をしてようが、もっと上がるのではないかと思おうが、手仕舞うことが大切ということなのだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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